和名のヘラサギは、シャモジのようなクチバシから命名されたと言われています。希少種のヘラサギは日本に数羽しか飛来しないのに、古くは、中国名の、漫画(マンカク)と呼ばれていました。記事では、日本には、殆どいない希少種のヘラサギを紹介しています。
ヘラサギはどんな鳥なの?
ヘラサギは、ペリカン目のトキ科、ヘラサギ属の鳥です。ユーラシア大陸とインド、ヨーロッパ東部地区などで繁殖した後に、越冬のため、ペルシャ湾沿岸から中国南部付近に渡ります。
そして日本には、冬鳥として飛来します。
和名のヘラサギは、シャモジのようなユーモラスなクチバシから命名されたものです。ヘラサギは、国内では毎年、数羽程度しか目撃されない希少種です。
ヘラサギは、85㎝程にもなるトキ科の鳥です。白い羽毛を持っています。
ヘラサギという名称は、サギ類を連想させますが、全く無関係でした。
改めてヘラサギを見ると、確かに短めの首や太い胴体は、サギ類よりも頑強そうに見えます。
ヘラサギとサギとの違い
ヘラサギは、呼び名や容姿だけでなく、沼地や河川で魚・カエル・カニなどを捕食して周辺の林でコロニーを作ります。これらの生態は、多くの点でサギと似ています。
ヘラサギとサギの区別は、次のような動作を確認すると良いでしょう。
- サギが立ち上がる時には、胸を反らせます。これに対して、ヘラサギは、やや前のめりになります。
- サギが飛び立つ時には、首をS字形に曲げますが、ヘラサギは真っすぐに伸ばします。
ヘラサギの近縁種
ヘラサギの近縁種は、顔の色が黒いクロツラヘラサギです。
クロツラヘラサギは、九州や沖縄の決まった水辺に毎年、300羽ほど飛来します。クロツラヘラサギの生息地は、中国大陸の沿岸部などに限られていて、世界中で2,000羽程度の希少種と言われています。
ヘラサギが漫画と呼ばれる理由
ヘラサギは、日本への飛来数は少ないですが、江戸時代から知られています。そのため、変わった古名も持っています。特に代表的な古名は、漫画です。
漫画は、中国名でマンカクと読みます。漫(マン)は、落ち着かない様子のことで、画(カク)は描くという意味です。
ヘラサギは、水面にシャモジのようなクチバシで、絵を描くようにしてエサを探します。この様子が、落ち着かない様に見えるため、漫画(マンカク)と呼ばれるのでしょう。
中国名の、漫画という呼び名は、日本語ではマンガを連想させますが、ヘラサギのエサをとる仕草をズバリ表した良い名称です。
まとめ
ヘラサギは、呼び名や容姿、沼地でエサを探すことや周辺の林でコロニーを作ることなど、多くの点でサギと似ています。
でも、サギとは全く関係のないトキ科の鳥で、希少種でした。
ヘラサギという和名は、シャモジを連想させるちょっと風変わりなクチバシから命名されたものです。それに対して、中国名の、漫画(マンカク)という名称は、落ち着かない様子を現わす、漫と、描くことを意味する、画です。
漫画という名称だけでヘラサギという鳥の仕草まで表現する漢字は、今更ながら感心させられます。
但し、年間を通じてヘラサギは、日本中に数羽しか飛来しないようです。そんなヘラサギのことを中国語の古名で呼んでいたとは、ヘラサギを目撃した当時の日本人には余程印象に残ったのでしょう。