日本のスズメは、最も身近にいる野鳥として親しまれていますが、スズメの暮らしは、殆ど知られていません。スズメと人との接点はなく、スズメも人には近づかないからです。記事では、スズメが人里を生活の場にしている理由や子育てについて紹介しています。
スズメと人との距離感
日本のスズメは、最も身近にいる野鳥として知られています。日本のスズメは、昔話に頻繁に出てくるように、親しまれています。
但し、スズメのことは、小さくて茶色で、ちゅんちゅんと鳴く程度しか知らない人が殆どです。スズメの暮らしは殆ど知られていません。
スズメの体重は25g程度しかありません。鳥は空を飛ぶために軽くなるように工夫されていて、骨も地上の動物とは違う構造だからです。
ただし、実際にスズメを手に載せると、その軽さには驚かされます。
忙しい現代人は、スズメに関心が無いし、スズメも、人との距離感を守っていて、接点がないからでしょう。
スズメが人里で暮らす理由
スズメは、人が住んでいる所に寄り添うように生活しています。そのため、人口が減少している過疎地域では、スズメの数も減っていると言われています。
スズメの天敵は、猛禽類のタカやワシ、イタチや蛇など沢山います。でも、人間の近くにいれば、天敵から襲われるリスクも減ります。
人間の近くにも、ペットの猫や、町中には、カラス等もいます。もちろん、人も危険ですが、適度な距離を維持すれば安全を保つことができます。
スズメの天敵(動物)は、人を恐れて近づきません。そのため、危険度を天秤にかけると、人里を生活の場とした方が安全なのでしょう。
スズメの子育て
スズメは、春になると産卵します。卵は2㎝×1.5㎝程のサイズで、1日に1個のペースで、概ね5個産みます。抱卵は、全ての卵を産み終わってから始めます。
理由は、同時に抱卵しないと、孵化(ふか)のタイミングがずれてしまうためです。孵化(ふか)の時期が違うと、大きな雛(ヒナ)が小さな雛を押しつぶしてしまう危険が増すためです。
そのため、およそ2週間の抱卵後、皆同じ日にふ化します。抱卵の時は、親鳥のお腹の羽毛は、抜け落ちます。
ちょっと痛々しく感じますが、卵に皮膚の熱を伝えるためです。これは、スズメだけでなく、多くの鳥類に備わっている仕組みです。
卵から、ふ化した直後のヒナには羽毛もありませんが、さらに2週間ほどで親鳥と同じ大きさになります。その後、生きるための教育を受けてから、巣立ちます。
この間は、およそ1ヶ月です。ヒナが巣立つと、親鳥は次の巣作りを始めます。スズメの産卵期間は、4月〜8月頃まであるため、1年に2〜3回もの子育てをすると言われています。
スズメが、これほど多くの産卵をして子育てをする理由は分かりません。但し、カラスなどの他のスズメ目のふ化率が90%に対して、スズメのふ化率は、60%程度と低率です。
スズメが1年に2〜3回もの子育てをする理由は、このような低率のふ化率と関係しているのかもしれません。
ふ化した後のヒナの行動
ヒナが食べるエサは、バッタや蛾(が)、アブラムシ、植物の種子等です。これらを親鳥から与えられて育ちます。ヒナがふ化した時の2g程の体重は、2週間後には、20g程度に急成長します。
その後、1週間ほど親鳥と一緒に過ごして、餌の取り方や、何が危険なのか等を教えてもらいます。そして、親鳥から離れて、同世代の仲間とともに群れで行動するようになります。
まとめ
日本のスズメは、最も身近にいる野鳥として親しまれていますが、スズメのことは殆ど知られていません。スズメと人との接点はなく、スズメも必要以上に、人には近づかないからです。
スズメが人里を生活の場にしているのは、スズメの天敵(動物)が人を恐れて近づかないためです。
人や人のペットなども危険ですが、危険度を天秤にかけて、仕方なく人里を生活の場としたのでしょう。
スズメの子育期間は、4月〜8月の5ヶ月間です。ヒナは、およそ1ヶ月で巣立つため、年に2〜3回もの子育てをします。
スズメが、年に数回も卵を産む理由は分かっていません。恐らく、スズメの場合、無事に生まれる卵は60%しかないことと関係しているのでしょう。