ハクチョウは、シベリアなどで子育てをします。但し、シベリアは極寒地域の為、日本などの暖かい地域に飛来して越冬しなければなりません。最初から、日本で生息すれば問題ないのに、何故ハクチョウは、数千キロメートルも離れた距離を渡るのでしょう。
ハクチョウの渡りとは?
ハクチョウは、秋になると極寒のシベリアなどから日本のような温暖地域に渡ってきて冬を過ごします。シベリアの水辺は凍ってしまうため、エサを採れなくなるのでしょう。
そして、冬が終わると数千キロメートルも離れた故郷に戻っていきます。
いっそのこと渡りなどは止めて、温暖な地域で一生過ごすことを考えた方が良いと思います。何故、漂鳥のような渡り鳥は、毎年渡りをするのでしょう。ハクチョウが毎年、数千キロメートルも渡りをする理由を次に紹介します。
ハクチョウが渡りをする理由
ハクチョウの産まれ故郷のシベリアは、夏になるとさまざまな生物が爆発的に発生します。特に、ハクチョウのエサは豊富です。
- シベリアの夏には、十分な食料がある。
- シベリアの広大で厳しい環境は、ハクチョウを脅かす天敵が少ないので、安心して子育てできる。
つまり、子育てをするハクチョウには、シベリアの春から夏の時期はベストな環境なのでしょう。
但し、9月頃になると、子育てに最適なシベリアは、全て氷で埋め尽くされてしまいます。
ハクチョウは仕方なくシベリアを離れて、数千キロメートルも飛んで、越冬することのできる日本などにやって来るのでしょう。
渡り鳥の分類
ハクチョウは渡り鳥ですが、渡り鳥とは、渡りをする鳥類の総称です。渡り鳥を細かく分類すると漂鳥(ひょうちょう)、旅鳥(たびどり)、夏鳥、冬鳥などに分けられています。
漂鳥
夏は、高山地域や北日本などの寒い地域で繁殖して、冬には里山や南日本に移動して越冬する鳥を漂鳥(ひょうちょう)と呼びます。漂鳥は、日本国内を季節移動する鳥です。
漂鳥は、ウグイス、ヒヨドリ、ホオジロなどです。
旅鳥
旅鳥は、シベリアなどで繁殖して、冬には東南アジアやオーストラリアなどで過ごします。また、旅鳥は越冬地に向かう途中や繁殖地に帰る途中で、休息するために日本に立ち寄る鳥です。
旅鳥は、ヤマショウビン、ハイイロミズナギドリなどです。
留鳥(りゅうちょう)
留鳥(りゅうちょう)は、スズメやカラスのように渡りをしないで、1年中だいたい同じ場所で過ごす鳥のことです。
夏鳥
ツバメのように春になると日本にやってきて繁殖し、寒くなると東南アジアなどの暖かい地域で過ごす鳥を夏鳥と呼びます。
冬鳥
秋に日本に渡ってきて、越冬をした後、春にシベリアなどに戻って繁殖をする鳥のことを冬鳥と呼びます。
ハクチョウ、ツル、カモなどは、冬鳥です。
鳥類が渡りをする主な理由
鳥が渡りをする主な理由は、食料の確保でしょう。
雑食性で、川魚や藻、草など何でも食べる鳥は、日本では、冬にも食べ物を獲ることができるため、移動しなくても生きていけます。
但し、木の実や虫などを食べる鳥は、冬になると食べ物を見つけられなくなります。このため、暖かい南の地域に渡りをしなければなりません。
このように考えると、雑食性のハクチョウや、水鳥が渡りをする理由が分からなくなります。きっと、ハクチョウ等の冬鳥には、食料の確保だけではない、別の理由もあるのでしょう。
まとめ
ハクチョウが毎年、数千キロメートルも離れた地域を飛行する渡りをしなければならないのは、次のような理由と考えられます。
- シベリアの夏は、十分な食べ物があって外敵も少ないため、子育てに適している。
- シベリアの冬は、氷に閉ざされるため、食料を確保するために、温暖な日本などで越冬しなければならない。
大きな体のハクチョウには、日本のような温暖な地域は、人による開発が進み過ぎたのでしょう。子育てに必要な食べ物や、安心して育てられる広大な土地が不足していると考えられます。
等々、色々考えられますが、理屈とは合わないところもあります。
大昔から渡りをしているので、理屈ではなくて、ハクチョウの遺伝子に組込まれた行動なのかもしれません。
簡単に言うと、ハクチョウは産まれ故郷のシベリアが好きなのでしょう。