最近はあまり見たことはありませんが、蟻が幼虫の繭(まゆ)を抱えて行列している姿を目撃したことがあります。この時は蟻の引っ越しをしているのかなと思いました。そして、蟻は勤勉でよく働く生物なんだと感心して見ていました。

ところが、この蟻の引っ越しは、実は「サムライアリ」が他の種類の蟻、例えばクロヤマアリの巣を襲撃して、その略奪品を運搬しているものでした。これが、蟻の引っ越しに見えたのは、俵型の卵を大切にくわえて運んでいたからです。

「サムライアリ」は鎌のような牙を持っていますので他の蟻と比べると戦いは強いと思いますが、ブラシのような前肢で自分の体を整える(掃除)こと以外は、何もできない蟻でした。

例え目の前に餌があっても、それを食べることができないそうです。自分一人では何もできない蟻だったのです。(奥さんに何でもやらせて威張っている親父以上に酷い蟻でした)

そのため、他の種類の蟻を奴隷にして従わせ、色々やってもらうことで日常生活を送っています。(考えてみると、随分変わった生き物です)

略奪したクロヤマアリの繭は、以前から奴隷として働いていたクロヤマアリが大切に育てます。そして、成長すると、「サムライアリ」の奴隷として、日常生活全ての世話をしてすごします。

但し、奴隷の蟻にも当然寿命はありますので、時々補充しなければなりません。そのために、クロヤマアリの巣を襲撃するのです。

このように「サムライアリ」は、盗賊集団でした。以上は、略奪するケースでしたが、他の蟻の巣を乗っ取ることもあります。

巣の乗っ取りは、交尾をした「サムライアリ」の女王蟻が行います。

「サムライアリ」の女王蟻は、他の種類(クロヤマアリ等)の蟻の巣に入り込んで、巣の中にいる女王蟻を噛み殺します。そして、自分がそこに居座るのです。

さすがに、巣を乗っ取られた蟻の巣にいた働き蟻は、匂いの違う女王蟻に気が付いて、盛んに噛みつきます。

この噛みつき攻撃に「サムライアリ」の女王蟻は、何もしないでひたすら耐えます。そうして、3日ぐらい経つと、働き蟻は攻撃を止めます。そして驚いたことに新女王蟻に餌を持ってくるなどのサービスを行うようになります。

そうなると、新女王蟻は「サムライアリ」の卵を産み始めます。そして生まれた「サムライアリ」の世話は、元々巣にいたクロヤマアリが行うようになります。

このようにして女王蟻による巣の乗っ取りは完成します。