鳥類の渡りの追跡法には様々な方法があります。これらには一長一短がありますので、それらについて簡単に紹介します。

 

標識法

これは、一度捕獲した鳥に首輪や足環を付けて放鳥後、再度捕獲された時に、標識に記載されている内容を見て移動地点を知る方法です。

そのため、手軽に行える方法ですが、実際には再捕獲されることは少ないことから、断片的なデータになることが殆どです。

ジオロケータによる追跡法

この方法は、光センサーを利用したもので、小型装置に装備された光センサーで日出時刻と、日没時刻を継続的に記録します。
日出と日没時刻は地域によって決まっていますので、それにもとづいて、緯度と経度をプロットしたものから、鳥の移動地点を求める方式です。但し、この方式による測定誤差は、70km〜300kmと大きいことから、おおよその移動ルートを探る場合に使用されます。

ジオロケータの重さは、1〜3g程のものですが、0.39gと軽いものも造られています。このジオロケータ(小型装置)には、鳥への装着用の紐がついていて、鳥の足や背中に付けられます。
取得したデータはジオロケータ内に蓄積されますが、発信機は搭載していないことから、装置は回収する必要があります。尚、追跡可能な期間は、機種によって違いますが、1年〜数年程度は可能です。装置の値段は、2〜3万円ぐらいで、通信費も不要なため、比較的活用されている方式です。

衛星追跡法

この方式には、大きく分けると「アルゴスシステムを用いた位置測定・データ収集システム方式」と「GPS(Grobal Positioning System)方式」の2つの方式があります。

『アルゴスシステムを用いた位置測定・データ収集システム方式』
使用される人口衛星は米国の気象衛星「ノア」と欧州連合の地球観測衛星「METOP」などで、地上から約800kmの極軌道を100分間に1回の速度で回っています。

この方式は、鳥の背中や首輪に取り付けられた送信機から発信した電波をアルゴス受信装置で受けた後、地上にある情報処理センターに送られます。そこで、データは緯度と経度の位置情報に変換され、インターネットで研究者に送られます。

このデータは30分程度で鳥の研究者が見ることができる上に、位置誤差も数km程度と少ないものです。
尚、この方式の場合は、衛生使用料が発生します。使用料は国によって異なりますが、日本の場合は1日間・1台で1500円〜2000円掛かります。
そして鳥に付けられた送信機の電池寿命は、数ヶ月〜1年です。電池を太陽電池方式にした場合は、3年〜7年ぐらいと見込まれます。

『GPS(全地球測位システム)方式』
この方式は、鳥に付けられた受信器が、様々な人工衛星からの電波を受信することで位置を測定する方法です。多くの人工衛星からの距離を活用していることから、高精度で位置を求めることができます。また、衛生の電波を受信しているだけなので費用もかかりません。

但し、データはGPS機器内に蓄積されるだけなので、データを確認する場合は、鳥を再捕獲しなければなりません。

『GPSとアルゴスシステムを組み合わせた方式』
これは、GPS機器内に蓄積したデータを10日に1度程度の頻度で、アルゴスシステムから送信するものです。この方式は、多額の衛星使用料から免れることができて、データを定期的にインターネットなどから入手できる優れものです。

但し、受信機と送信機を搭載すると重量はかさんでしまいます。装着具を含めて対象種の4%以内に収めることが推奨されています。

鳥類の渡りの追跡は、以上のような様々な方式がありますが、再捕獲でデータを集める方式は現実的ではありません。そのため、現在は、アルゴスシステムを活用してデータを集める対応が主流です。