ハクチョウの飛来数は天候などに左右されて毎年違います。今回は飛来数と天侯との関係を調べてみました。
▼目次
1.ハクチョウの飛来
そろそろ、ハクチョウ好きがソワソワする季節です。昨年度(2018年度)は、関東地区に飛来するハクチョウは少なくてガッカリしました。
今年の冬も暖冬という予想が出て心配している人は多いと思います。しかし、ハクチョウの飛来は気温が下がると増えるわけではなさそうです。
振り返ってみると、2017年度は寒すぎて湖が凍ってしまい、有名な飛来地に来てくれるハクチョウは少なかったようです。
2.飛来数と気温や積雪量の関係
環境省は、ハクチョウ飛来と気温・積雪量との関係を過去に調べていました。とても貴重なデータです。国立環境研究所の永田尚志氏がインターネットに掲載した(Bird Research vol3,pp.A11-A18,2007)記事を熟読させて頂きました。
調査データは、1984年から2006年の1月中旬の昼実施。ハクチョウやカモ類が主に休息する湖・沼・河川への飛来数と、気象庁のアメダスデータを照合してまとめていました。
集計データから判ったこと
web公表資料では、データから得られた細部の考察がされていて、ハクチョウ類の場合、積雪量よりも気温の影響が大きいようです。ただし、ハクチョウの飛来数は気候だけではなく、雪残り量や、餌付け依存個体数などによる休息地の環境からの影響を受けるため、他のパラメータも考慮しなければならない旨の記載もありました。
気温と積雪量のどちらが飛来数に寄与しているかということよりも、気温が下がって水面が凍結してしまう、或いは大雪が積もって餌にありつけなくなると影響するということでしょう。
3.2019年秋のハクチョウ飛来状況
この冬にハクチョウがどれだけ来てくれるのかは分かりませんが、さまざまな場所にハクチョウが飛来しているようです。
《羽咋市邑知潟》
10月13日、石川県羽咋市邑知潟(はくいしおうちがた)でコハクチョウ25羽ほどが確認された。羽咋市白鳥の里推進協議会によると、昨年よりも1日早いが例年よりも1週間遅れだそうです。
《富山》
10月14日に富山市婦中町吉川の田んぼに、51羽のコハクチョウ飛来。50羽を超えるハクチョウの初飛来ははじめてのことで、台風の影響もあるかもしれないと発見者の感想有。昨年よりも1日早いそうです。
《安曇野市豊科》
10月16日午前、長野県安曇野市豊科で4羽の成鳥飛来が確認された。「アルプス白鳥の会」が確認(今季初)。
昨年よりも3日早いそうです。
《大田原の羽田沼》
10月16日に栃木県大田原市羽田の羽田沼でオオハクチョウ1羽確認された。確認したのは「羽田沼白鳥を守る会」で、例年よりも1週間早いそうです。
これらの初飛来データを見ると、昨年よりも早く来ていて期待度は高まりますが、研究員によると低気圧や高気圧通過によって雨や風の影響を受けるためと言っています。その年の気圧配置の違いで1週間ぐらいの初飛来日のずれは簡単に生じてしまうそうです。
4.まとめ
最近の関東地方へのハクチョウの飛来数は天候と関係がありそうです。2017年度は寒気が激しく、日本海側の飛来地(瓢湖など)の湖面は凍結や積雪量が多いために、餌を採れない状況になって周辺に飛んでいってしまったと言われています。
2018年度は逆に暖かすぎて、あまり飛来しなかったようです。
今年度(2019年)も暖冬の予測ですが、今年こそ、多くのハクチョウが来てくれるものと期待しています。