グンタイアリの真実

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映画に登場するグンタイアリは、隊列を組んで行く手にいる生物たちを全て食い殺してしまうほど凶暴です。これは映画の世界の内容です。グンタイアリには、これほど凶暴な種はいません。記事では、実際のグンタイアリがどのようなアリなのかをまとめています。

グンタイアリの分類

南米には数10種のグンタイアリが生息していますが、その中で大部分を占める種は、ハチの巣や他種のアリなどしか襲いません。

残りの僅かな種は、様々な物を食べる広食性ですが、大抵はゴキブリやバッタの類がターゲットと言われています。つまり、映画のように大型の脊椎動物が襲撃されることは、ほとんどないでしょう。

アリ学者によるグンタイアリの分類は、「グンタイアリ亜科」、「サスライアリ亜科」、「ヒメサスライアリ亜科」の3つです。
「グンタイアリ亜科」・・・中南米に分布
「サスライアリ亜科」・・・アフリカ、一部のアジアに分布
「ヒメサスライアリ亜科」・・・東南アジアとアフリカに分布

この中で、「ヒメサスライアリ亜科」は他種のアリの巣を専門に襲いますが、小型・軽量のアリです。

「サスライアリ亜科」は、大型で凶暴です。そのため、中南米にいる「グンタイアリ亜科」よりも人々がイメージするグンタイアリに近いでしょう。

グンタイアリの大きさ

3分類のグンタイアリは、それぞれ、女王アリ・雄アリ・働きアリの階級に分かれています。働きアリは、さらに4つの役目に別れています。

女王アリと雄アリは、働きアリよりも巨大です。「グンタイアリ亜科」の働きアリは、1.5㎝程の大きさで、女王アリは、2㎝ぐらいの大きな体長です。

ところが、「サスライアリ亜科」は、これらよりも、さらに大きなサイズです(女王アリは、5㎝に達するものもいます)。

グンタイアリの独特な拠点作り

グンタイアリは移動することが多いため、頻繁に拠点変更をします。そのためでしょうか、地面に穴を掘って巣を作ることはしません。

地面に穴を掘って巣を作る代わりに、グンタイアリは、拠点に合っている穴等を見つけると、仲間のアリ同士で脚と脚を絡ませて繋ぎあって鎖状にします。

これは「アリの鎖」と呼ばれるものです。数100万匹のアリがつなぎ合い、伸ばし合うことで、拠点の要塞を作っていたのです。

こうすることで、地中に穴を開けるコロニーと同等の頑強な住処を確保していました。

凶暴な殺戮者としてのグンタイアリの役割

グンタイアリが、襲撃すると、その地域の個体数は減少しますが、襲われた種は、その地域で最も繁殖していた生物と言われています。

しかし、例え、グンタイアリの中で最も凶暴な「サスライアリ亜科」のアリが、襲撃しても、一時的に空間ができるだけです。

その空間には、直ぐに生存競争の弱者たちが住みついてしまいます。つまり、グンタイアリは森の中で、生物多様性の手助けをしていたのです。

まとめ

グンタイアリの仲間は、大きな分類で3種に分けられます。この3種とも、映画に登場するように大型の脊椎動物を襲うことはしません。

グンタイアリは、他の小型の生き物を襲撃して滅ぼしますが、襲われた種は、地域で最も繁殖していた生物と言われています。

つまり、グンタイアリは、地域の生物多様性の役目をしていたという見方も出来るようです。一見、悪役に見える生物でも、何かの役目をになっているのですね。

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