ペンギンの脚に隠された秘密

立っているペンギン ペンギン
立っているペンギン

ヨチヨチ歩くペンギンの歩行は、とても愛くるしくて微笑ましいですが、極寒の地で生き残るための体の構造上、仕方のないものでした。ペンギンの脚は、実は長かったのです。この記事では、ペンギンの脚の構造と、優れた熱交換システムについて紹介しています。

何故ペンギンは長時間氷の上にいられるの?

ペンギンを見て可愛いと思う人は多いでしょう。特に子供たちには絶大な人気です。

短い足と、ずんぐりむっくりしている体で、歩きにくそうに、ピョコタンピョコタンと歩く姿は、いっそう可愛さを引き立てます。

でも不思議です。

あんなに寒い南極なのに氷の上に長時間立っていられるのは何故でしょうか。ハクチョウ等は、足に特別な熱交換システムがあって、冷たい脚の温度を直接体内に入れないようにしています。

ペンギンにも、そのようなシステムは有るのでしょうか?

ペンギンの脚の構造

驚いたことに、ペンギンの骨格を見ると脚は長かったのです。

ペンギンの脚は分厚い脂肪や羽毛で隠されていますが、椅子に座っているように折りたたまれていました。

ペンギンの本当の脚は、見かけよりも長かったのです。

座っているような状態なら、確かに歩きにくいでしょう。

人が椅子に座った状態で足首だけを動かすことを想像すれば、ペンギンがヨチヨチ歩きになってしまうのは当然でしょう。

長い脚を体内に隠すことになった理由

ペンギンは、南極のような極寒地で暮らすため、体温放出の激しい長い脚を体内にしまわざるを得なかったのでしょう。

その上で、次のような熱交換システムで、体温の放出を防いでいたのです。

ペンギンの熱交換システム

ペンギンの体には暖かい血液を体の隅々に送る動脈があります。当然、脛(すね)や脚先にも動脈が絡みついていて脚の温度を上げようとします。

極寒地では脚先ほど体温は低下しますが、ペンギンの脚が長い分、動脈が絡みつく距離も長くなります。動脈の絡みつきが長くなれば、温度の低下を防いでくれます。

でも、どんなに優れた熱交換システムでも、脚先に行くほど温度は低下するでしょう。

そのため、ペンギンの熱交換システムは、脚先に行くに従って外気温との差が小さくなることを利用していました。

そのため、ペンギンは長い脚を、毛皮や脂肪の下に覆い隠して、地面に触れる足だけを外気に出していたのです。

ペンギンの体温が39℃の時でも地面に触れる足の温度は、6℃〜9℃と低くなります。このようにペンギンの脚先温度は低いため、外気との熱の流出入は起こりにくくなるのです。

まとめ

愛嬌のあるペンギンの姿をみるたびに、脚が短いと思っていました。ところが、ペンギンは極寒地で生きるため長い脚を体内に隠していたのです。

ペンギンは、長い脚を椅子に腰かけるように折りたたんで羽毛と脂肪の内部にしまっていました。

脚首付近から脚だけを外気にさらしていたため、地上(氷上)を歩く時は、歩きにくそうにならざるを得なかったのです。

ペンギンは、「長い脚」に暖かい動脈をからませて温めていました。「長い脚」で温めるための距離をかせいでいたのです。

ただし、極地の冷たい外気に表面積の多い「長い脚」をさらしてしまうと熱の流出が多くなります。

その為、「長い脚」は、脂肪と羽毛の内部にしまっていました。

「長い脚」に暖かい動脈を絡ませて脚の温度を維持するシステムでは、脚の先に向かうに従って血液の温度が低下します。

実は、これが絶妙な技でした。

温度の放出特性は、温度差があるほど急激に熱を逃がしてしまうからです。

外気に出ているペンギンの脚の温度は細胞活動が維持できる程度の低い温度になっています。そのため、体温の流出を防いでいたのです。

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