ハチドリの不思議な生態

ハチドリ
ハチドリ

ハチドリは鳥ですが、天敵の多い自然界でも熟睡します。また、花の蜜が主食という変わった特徴も持っています。この記事では、こんな行動をする理由を、ハチドリの生態や空間認識能力などを推察します。ハチドリの小さな体の制約が分かるようになります。

ハチドリとはどんな鳥なの?

ハチドリは、鳥綱、アマツバメ目のハチドリ亜目、ハチドリ科の鳥です。鳥類では最も体が小さいグループで、体重は2g〜20g程しかありません。生息域は米国南西部からカリブ海諸島、南米のアルゼンチン付近に生息します。

ハチドリの特徴は、小さな体、宝石のような羽毛、そして花の蜜を吸うために空中で静止飛行をすることでしょう。

ハチドリの生態は、他にも興味深い特徴があるので紹介します。

敵の多い自然界で熟睡してしまうハチドリ

驚いたことにハチドリは、夜間やエサをとらない時には熟睡しています。自然界では、外敵に襲われるのを恐れて短時間睡眠をする種が多いです。

ところが、ハチドリはあたかも冬眠をするかのように昏睡状態で眠るといわれています。

ハチドリが熟睡する理由

ハチドリは鳥類ですが、他の鳥に比べて体が極端に小さく、ホバリングなどの特殊な飛行をします。

そのため、昆虫以外の動物では、最も活発な代謝になります。

また、激しい代謝に対応するため、特殊な腎臓の機能などで生体活動を維持していることも判っています。

つまり、ハチドリが熟睡しなければならない理由は、エネルギーを節約するためです。

夜の睡眠中は、体温を40℃から18℃まで下げることや、特殊な腎機能の活動を抑制する等で代謝を抑えています。それでも、睡眠中に0.04g/時間ずつ体重が減少するため、ハチドリでは、5時間寝ると10%も体重の低下を招くからです。

ハチドリは、小さな体で激しい代謝のため、エネルギーの節約が必須でした。そのため、天敵に怯えながらも省エネになる、熟睡をしなければ生きられなかったのでしょう。

ハチドリが花の蜜を吸う理由

ハチドリの主食は花の蜜です。代謝の激しいハチドリが主食として選んだのですから花の蜜は、高カロリーなのでしょう。でも、そんな理由だけでしょうか?

花は植物のため、いつも同じ場所に咲いています。ところが、移動する虫などの場合は、もし捕獲に失敗したら命とりになるからです。

そう考えると、いつも決まった場所に咲く花の蜜は、ハチドリに最適です。

しかし、小さなハチドリの脳の大きさは米粒大のサイズです。そんな小さな脳に花が咲く場所の記憶などできるのでしょうか? そんな疑問が湧いてきますが、ハチドリの縄張り意識は強く、特定のエサ場もありました。

しかも、ハチドリの空間認識を実験で調べた結果では、花の位置や、蜜が溜まる時間も認識していました。

自然界のハチドリは、激しい代謝のために、10分〜15分間隔で、食事をしなければなりません。

そのために、花が咲く場所や蜜が溜まる時間を認識する能力があるので、花の蜜を主食にしたのでしょう。

まとめ

ハチドリは鳥ですが、天敵の多い自然界で熟睡します。また、花の蜜を主食とする、変わった特徴も持っています。

このような変わった特徴は、生体活動や空間認識能力などのデータから、次のような理由が推測されています。

  1. ハチドリは、小さな体でも、代謝が激しいため、エネルギーの節約は必須でした。そのため、天敵に怯えながらも省エネになる熟睡をせざるを得なかったのです。
  2. ハチドリが花の蜜を主食にするのは、植物なら移動しないからでしょう。花が咲く場所や蜜が溜まる時間の認識さえ出来れば、必ず食べることが出来るからです。

このように、ハチドリは代謝エネルギーを無駄にしないために、確実に食べられる花の蜜を主食にしたのでしょう。

今回知って驚いたことは、体のサイズが小さすぎても、代謝のことを考慮しなければならないのです。

タイトルとURLをコピーしました