実家の庭の木の枝にカエルが刺さっていたことがあります。これは、モズ(野鳥)が行ったのでしょう。モズの早贄(はやにえ)です。モズが、早贄をする本当の理由は分かっていませんが、記事では、幾つかの候補について、それぞれ分かりやすく紹介しています。
カエルを木に刺す風変わりなモズの習性
モズという鳥は面白い習性をしています。
木の枝の先やトゲに昆虫やカエルなどが刺さっているのを見たことがある、という人はいると思います。
これはモズの仕業です。
私は子供の頃に見たことがありましたが、実家の婆さんは、庭の木にカエルが刺さっているのを見て誰がやったのだろう? 変な事をする人がいるねえと言って嫌がっていました。
それは、モズがやったと言ったら、本当なの?
と言って驚いていました。(昔の人でもあまり知らないようです)
尚、捕まえた獲物を木の枝などに刺す行為は、モズの種類にもよりますが、多くは10月から1月頃に行われています。
モズの早贄(はやにえ)という風変わりな習性
モズには捕まえた獲物を木の枝やトゲ(含む有刺鉄線)などに刺して放置する変わった習性があります。
モズの獲物の多くは、昆虫ですが、カエルや魚、トカゲ、鳥など様々な生物が対象です。
モズは肉食の鳥だからです。
昔の人は、木の枝に刺さった獲物を見て、モズが秋に初めて捕まえた獲物を、いけにえとして捧げたものだと考えました。そして、このような行為をモズの早贄(はやにえ)と呼ぶようになりました。
モズが早贄(はやにえ)をする理由
モズが捕らえた獲物を木に刺して放置する理由には様々な説があります。
モズの筋力不足説
モズは小さな肉食の鳥のため、タカやワシなどに比べると筋力は落ちます。そのため、捕らえた獲物を引きちぎれないため、暫く乾燥させて獲物がもろくなるのを待っているという説です。
獲物の貯食説
貯食説とは、モズが捕らえた獲物を保管しているという説です。ヨーロッパのオオモズの調査では、獲物の少ない冬季に早贄(はやにえ)は行われています。そして、早贄の獲物は9日以内に62%が消費されたというデータがあります。
また、セアカモズという種では、主に繁殖期に早贄(はやにえ)が行われていたと報告されています。
つまり、これらは、できるだけ捕らえた獲物を保管して、最も必要な時期に消費していると考えられている説です。(子どもを産んで育てる繁殖期には、最もエネルギーを使いますから)
メスを引き付けるためという説
モズの種類によっては、早贄(はやにえ)は繁殖期だけ行うという種もいます。そのため、早贄(はやにえ)は、メスを引き寄せるために行っているという説もあります。
まとめ
モズが、樹木の枝などに獲物を刺す行為を早贄(はやにえ)と呼びます。
モズの早贄(はやにえ)には、色々な説がありますが、まだ結論には至ってはいません。
モズからみれば、人が理由を考えること事態、大きなお世話と思っているでしょう。しかし、バードウォッチングが趣味の人にとっては、大変面白いテーマです。