カメムシの体表は厚いセメント層で覆(おお)われていて、自身で放出した悪臭の分泌液が皮膚から浸み込まないようになっています。カメムシの臭いは、自分自身の体を保護しなければならない程、強烈ですが、彼らの悪臭は3つの大切な役目を担っていました。
カメムシの悪臭の役目
洗濯物を取り込んだ時に、カメムシの悪臭にやられた人は多いでしょう。カメムシは、くさい臭いのおかげでヘッピリムシの異名を持っていて、不快害虫に分類されています。
ところが、カメムシにとっては、この不快な臭いは生きていく上で大切な、「防御」、「警報」、「集合」の役目をしています。
3つの役目とは
カメムシの悪臭の究極的な働きは、外敵からの「防御」です。警報については、敵が来たので逃げろという「警報」です。「防御」とセットで使えそうです。
では、悪臭は「集合」の役目も担っているのでしょうか?
カメムシの多くは、幼虫時代に群れで生活しています。寒い冬をのりきるため、葉の裏側などに群れで集まることもします。このように、カメムシは仲間を呼び寄せる時にも臭いで知らせます。
オスがメスを呼び寄せることもします。
悪臭の濃度が最も濃い時には、外敵を退散させるほど強烈な臭いです。2番目に強烈な臭いは「警報」です。そして、仲間を「集合」させる時には、最も低い濃度と言われています。
悪臭の濃度を変えるだけで、本当に「防御」、「警報」、「集合」の区別が出来るのか不思議ですが、カメムシの悪臭は、このような3つの役目を担っていると言われています。
カメムシの悪臭の主成分
カメムシの悪臭の主成分は、アルデヒド類のヘシセナールやデセナールと呼ばれる物質です。
ハーブのパクチーの生葉の匂いは、カメムシの臭いに似ていると言われています。バナナやキュウリの青臭さに近いかもしれません。
におい物質は、カメムシの胸の分泌腺で作られて、開口部から放出されます。開口部は、幼虫の時には背中にありますが、成虫になると胸の腹面の根本付近です。
外敵を退散させる時の悪臭はどんな時に放出されるの?
カメムシは、外敵に襲われる時などに「防御」のために臭腺の開口部から悪臭の分泌液を飛散させます。
この分泌液はとても揮発しやすいため、いっきに臭いを漂わせて外敵を退散させる威力があります。
例えば、外敵のアリも、この強烈な悪臭で逃げ出します。
有害物質を放出するカメムシ自身は大丈夫なの?
悪臭を放出すると、天敵のアリも逃げ出すほどですから、相当有害なのでしょう。
ちなみに、悪臭の主成分のアルデヒド類は、刺激性の物質で、息が詰まる臭いを発散させます。
アルデヒド類は、可燃性を持つ有害物質とされています。
悪臭成分は、カメムシ自身にも有害です。カメムシの体表は厚いセメント層で覆(おお)われていて有害物質が皮膚の中にしみ込まないようになっています。
ただし、密閉容器に閉じ込められると、呼吸器などからカメムシの体内に入ってしまいます。
そのため、自分の発した臭いで死んでしまうこともあるそうです。
まとめ
カメムシの臭いは嫌な臭いですが、自分の体をセメント層で守らなければならない程、強烈な有害物質でした。
しかも、臭いの濃度を変えることで、「防御」、「警報」、「集合」の3つの役目もしていました。
カメムシは、臭い昆虫として多くの人から嫌がられていますが、彼らにとって臭い物質はなくてはならない大切なものだったのです。
それにしても、臭いの濃度で、「防御」、「警報」、「集合」という異なる役目が出来るのでしょうか。
匂いは、拡散してしまうので、まだ納得しません。自分で究明したいテーマです。