ダチョウの祖先が空を飛べたという根拠

走鳥類のエミュー
走鳥類のエミュー

ダチョウなどの走鳥類は、超大陸が分裂した際に南半球に取り残されたと言われていて、飛行できなかったと考えられてきました。それに反して、飛ぶことが出来たという新説も唱えられました。この記事では、DNA解析による新説の根拠を紹介しています。

ダチョウの祖先が、飛行できたという根拠

ダチョウの祖先が空を飛ぶことができたという新説は、次のようなものです。

  1. 3ヶ国で編成された国際研究チームは、エピオルニスという走鳥類の骨から細胞核とミトコンドリアの取り出しに成功しました。国際研究チームは、日本・中国・デンマークの3ヶ国です。エピオルニスは、マダガスカルで数100年前に絶滅しています。
  2. エピオルニスは、体高3メートル以上もあって、体重は400kg以上の巨大な生物です。こんな巨体では飛べません。ところが、DNA解析で、7,000万年前の走鳥類の祖先は、体重2kg〜5kg程のサイズだったと推定されています。
  3. また、北半球で発見された新化石のリトルニスは、走鳥類のエピオルニスに近い系統でしたが、飛べる特徴も持っていました。

以上の解析結果から、ダチョウの祖先も、小型サイズだったと考えられています。これらの分析から、ダチョウの祖先も飛行できたと考えられます。

この分析は、ダチョウについてのDNA解析結果ではありませんが、走鳥類の祖先は小型で、飛行できたため、ダチョウも同様と考えられます。

ダチョウは北半球にいたの?

従来の通説では、ダチョウなどの飛べない鳥、走鳥類(そうちょうるい)の起源は南半球だと言われてきました。

ところが、上記の国際研究チームによるDNA解析の結果、走鳥類の祖先の起源は、空を飛べる鳥だったと推測されています。

しかも、走鳥類の祖先の起源は、北半球に生息していたという新設です。

新設による憶測

走鳥類の祖先は、北米から南米に飛んで移動しました。

当時の南米は南極大陸を介してオーストラリアに繋がっていました。そのため、生息域を広げるのと併せて、白亜紀から古第三紀にかけて種の分化も進みました。

走鳥類の祖先は、大陸分裂後に南極から海を越えて、ニュージーランドやマダガスカルなどに到達したと考えられます。

エピオルニスやダチョウ等のように、走鳥類が巨大化したのは、その後と考えられています。

この研究結果は、2016年12月に国立科学博物館より報道発表されています。この論文は、米国科学誌のカレント・バイオロジーにも掲載されています。

《走鳥類とは?》
走鳥類は、翼が退化して飛べないため、地上で生活している鳥です。飛ばないために、飛翔筋を支えるための竜骨突起は小さく退化して、平胸類(へいきょうるい)とも呼ばれています。

走鳥類は、ダチョウ目・レア目・ヒクイドリ目・キーウィ目や、既に絶滅したモア目・エピオルニス目などに分類されています。

走鳥類は南半球にいたという従来説の根拠

現在、自然環境で生息する走鳥類は、南極を除いた南半球にいます。例えば、ダチョウは南アフリカ、ヒクイドリはオーストラリア北部やニュージーランドに生息しています。

従来説では、走鳥類が南半球だけに生息していることに着目して、海を越えて広がった理由を次のように説明しています。

《従来説の根拠》
太古の地球の陸地は、1つだけの超大陸(3億3,500万年前〜1億7,500万年前)であったと考えられています。1つの超大陸とは、パンゲア・プロクシマ大陸のことです。

従来説によると、超大陸南部の分裂によって飛べない走鳥類の祖先の集団は分割されました。分割された大陸に閉じ込められたグループは、おのおのの大陸で進化して現在に至ったというのが、従来説の根拠です。

ところが、走鳥類の進化による分岐は、9,000万年前〜7,000年前で、超大陸の分裂時期とは合致していません。そのため、この説明には無理がありました。

まとめ

ダチョウの祖先が空を飛べたという新説には驚きましたが、ダチョウの祖先も空を飛べた時には、体が小さくて軽量だったようです。

走鳥類の祖先は、北半球から哺乳類との競争が少ない南半球に渡って行ったため、住みやすくて定着したのでしょう。その後、大型化して、飛行できなくなったと推定されています。

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