昆虫は普段見慣れていますが、昆虫の体の器官の多くは、人とは違います。記事では、昆虫の体の不思議な器官や、暑さ対策をする昆虫の変わった行動などの一部を紹介しています。同じ地球の生物ですが、人とは違う昆虫の側面に触れることが出来るでしょう。
昆虫の不思議な器官
昆虫には、人の体とは違う、多くの独特の器官があります。次に、その中の一部を紹介します。
昆虫の気門の働き
昆虫には、人にある、肺という器官はありません。そのため、空気は口で吸っていないのです。そのかわり、昆虫には、気門(きもん)という穴が体の側面などにあります。
気門では、空気を吸って酸素を取り入れ、二酸化炭素を気門から外に排出しています。
気門から取り入れられた酸素は、全身に張り巡らされている空気の通り道の、気管という組織を通して、体のすみずみに運ばれます。気管の末端は、細く枝分かれしていて筋肉や内臓などの組織に入って直接酸素を供給しています。
尚、体の大きなカブトムシや、飛び回るミツバチ等には気嚢(きのう)という、空気を貯められる袋のような器官があります。
昆虫の気嚢は、気管の一部が膨れたものです。気嚢は、激しい運動をして一度に大量の酸素を必要とするような時のバッファーとしての働きだけではありません。体内に気嚢があることで、組織までの距離が短くなって体のすみずみまで酸素を供給しやすくしています。
また、気嚢の働きは、それ以外にも、体重を軽くする役目もしています。気嚢は空気の袋だからです。
昆虫の耳
ほとんどの昆虫は、耳を持っていないと言われています。そのため音は、触覚や身体にある毛等の、センサーで感じています。
又、耳を持っている昆虫も、耳の位置は人のように頭付近ではなくて、胸や腹、あるいは、脚などにあります。
昆虫の眼
昆虫の眼の主体は複眼です。複眼は、多数の個眼からできています。昆虫は体が小さいために、単眼では焦点距離が足りないのです。そのため、単眼(1枚レンズ)では、物を見ることができないため、複眼を選ぶしかなかったのでしょう。
ちょっと変わった昆虫の暑さ対策
昆虫は熱さに強いとおもわれがちですが、変温動物です。そのため、運動による体温上昇や気温に周囲温度の変化による影響を受けやすい生物です。
変温動物は、体温が下がれば動けなくなるし、体温が高くなりすぎると弱ってしまいます。従って、昆虫も暑さ対策をしています。
あまり知られていませんが、昆虫の暑さ対策には次のようなものがあります。
- ナナホシテントウは、真夏の炎天下を避けるために、秋になるまで草の根本で夏眠します。
- 赤トンボやトンボが長いお腹を上に立てて(逆立ちして)休んでいるのは、強い日差しを少しでも避けて体温上昇を防いでいるのです。
- アゲハチョウの幼虫(いもむし)は黒いので、暑い夏は大変です。半分立ち上がるような恰好は、太陽光の吸収を少なくするために、直射日光の当たる面積を小さくしているのでしょう。
まとめ
昆虫は、人とは違うさまざまな器官を持っています。普段、昆虫を見ても気が付かなかったのですが、小さな体の昆虫は、体のサイズに合っているやり方で体を維持していたようです。
温暖化が進んだため、昆虫にとっても、暑い夏は大変のようです。昆虫の暑さを避けるしぐさを見ると、体の器官が違っていても同じ地球の生き物なんだと感じさせてくれます。