日本のスミレは草本に分類されます。スミレは、小さくて可憐ですが、世界的には樹木の方が多く、日本のスミレとはイメージが違います。但し、日本のスミレは種が多くて、見分けるのも大変です。記事では日本のスミレの花びらによる見分け方を紹介しています。
スミレの仲間には樹木が多かった
スミレ科には16〜23属、850種もの仲間があります。スミレ科全体では、樹木が多いですが、種の多くは、草本です。
スミレ科は、アンデス山麓(さんろく)に分布が多いことから、アンデスから発祥したと考えられています。そして、寒い北半球に進出する過程で、樹木から、草本になったという説があります。
日本のスミレは多年草です。スミレは、小さくて可憐な草花の代表ですが、世界的には、樹木の方が多いです。但し、今は、スミレ属の多くが北半球の温帯に生育しているため、日本のように、草本が多いと言われています。
日本のスミレ属
日本のスミレは、全て多年草で60種です。この60種を、さらに細かい品種に分けると、およそ220種類にもなります。そのため、日本はスミレの多い国と言われています。
スミレ属の花の特徴
スミレ属の花びらは、5枚です。花は左右対称で、オシベとメシベを持つ両性花のため、オシベの柱頭(ちゅうとう)が花びらの中心から伸びています。
5枚の花びらのうち、上の2枚は上弁(じょうべん)です。下にある左右の2枚は側弁(そくべん)で、最下部の舌のように伸びている花びらは、唇弁(しんべん)と呼ばれています。
そして、花びらの付け根部にあるガクの付近から出ている突起物は、内部に蜜線のある距(きょ)と呼ばれています。蜜は、距(きょ)で溜めています。
オシベの柱頭(ちゅうとう)は、カマキリの頭のようなものや、棒状のものなどさまざまな形状をしています。柱頭(ちゅうとう)の形は、種の特定に役立ちます。
スミレの種を見分けるポイント
日本のスミレは種類が多くて見分けるのは大変です。但し、次のような種を特定するのに役立つポイントがあります。
花部による見分け方
スミレの種類は多いですが、花部の形状などで、次のように見分けられます。
- 側弁(そくべん)の基部の毛の有無。
- 唇弁(しんべん)の長さ。
特別な花びらによる種の特定
特徴的な花びらの場合には、形状などで次のように、スミレ種を特定しています。
- 花びら上弁の形状
兎の耳のように立ち上がっているものは、スミレ科、スミレ属の、コスミレです。逆に後ろに反っているものは、スミレ科、スミレ属の、キバナノコマノツメです。 - 柱頭(ちゅうとう)の形状
先端が棒状のものは、タチツボスミレ類で、カマキリの頭の形は、ミヤマスミレ類です。
- 距(きょ)の長さや太さ
植物の距(きょ)とは、花びら等の付け根にある突起部のことです。スミレの世界では、距が極端に長いものは、ナガハシスミレで、極端に短いものは、ニョイスミレです。そして、距が細いものは、アカネスミレで、距が太いものは、スミレサイシンに分けられています。
まとめ
日本では、小さくて可憐な花の代表のようなスミレですが、世界的には、樹木に分類されているものの方が多いと言われています。ただし、北半球では日本のように野草が主体です。
日本のスミレは種類が多くて、種類分けは大変ですが、花部や、葉の部分、地上茎や地下茎、根の観察などで見分けられます。(今回は、花部の特徴のみ記載しています。)
なお、現在は多くのスミレは、絶滅の危機にあります。また、野生のスミレは栽培が難しいと言われています。そのため、種類分けも外観で見ることのできる花部・葉・地上茎に留めて対応することが求められます。
スミレは写真に撮って、自宅で図鑑と格闘するのが良いでしょう。