アリの最も優れた武器

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アリ

アリ社会は、同種のアリでも巣穴が違うと敵とみなします。アリ同士の争いも大きなリスクです。アリの武器は、噛みつくことや、有刺アリの刺す攻撃です。これでは、自分も傷ついてしまうでしょう。そのため、敵に接しないで攻撃する手法も生まれました。

アリと蟻酸

アリは、ハチの仲間から進化したものです。アリは、ハチの翅(はね)を失くして、地面や樹木の穴などを生活空間に選んだ進化形態と考えて良いそうです。

確かに、ハチとアリの体は似ています。翅をつけたアリはハチのようにも見えます。アリの仲間にも、ハチのように針を持っているものもいます。

アリと言うと蟻酸(ぎさん)を思い浮かべますが、調べてみると蟻酸を出すのは比較的進化を遂げたヤマアリの仲間だけでした。

蟻酸は武器なの?

アリの蟻酸は、強い匂いのため道標(みちしるべ)として使われています。ただし、蟻酸は、ハチが持っている針と同様に強力な武器としても活用されています。

一般的なアリの武器は、サムライアリに代表されるような鎌のような形の口による「噛みつき」です。噛みつきは、相手と組みあうことから、自分が怪我をするリスクがつきまといます。

ところが、スプレーのように噴出して相手を撃退できる蟻酸は、離れた位置から攻撃できる高度な武器です。

蟻酸によるダメージ

蟻酸は、酸性度の高い液体です。蟻酸を腹部に掛けられた相手(アリや昆虫)は、呼吸器の気門から酸を吸い込んでしまいます。そのため、体内は焼けてしまいます。

人間の目に蟻酸をかけると失明することもあります。

アリを手でつかまえると独特の蟻酸の匂いがしますが、小さな虫にとっては、蟻酸は恐ろしい武器でした。

おもしろい武器

アリの武器は、鎌のような口による噛みつき攻撃や、ハチのような針で攻撃するものが知られています。これよりも凄いのは、蟻酸による酸攻撃でした。

蟻酸は離れた敵に攻撃できる最新鋭の武器だったのです。

また、蟻酸と同様に敵と距離を置いて攻撃する変わった方法をするクビレアリ属の仲間もいます。

ミツツボアリと同じ場所で生活して競合関係にあるクビレアリ属の仲間は、次のような方法で、攻撃することが知られています。

《クビレアリ属の攻撃方法》
クビレアリ属の仲間は、ミツツボアリの巣の入口から小石を放り込みます。
こうすると、ミツツボアリは、巣が何者かに攻撃されたと思って、非常態勢をとって敵の攻撃に備えます。

こうして、ミツツボアリは、餌をとりに行けなくなります。

このような投石攻撃は、北米に生息しているアミナガアリ属の仲間も行っていることが知られています。

《アミナガアリの攻撃方法》
アミナガアリの仲間は、シュウカクアリ属の巣の入口を、石で埋めてしまいます。

巣の入口を石で塞がれたシュウカクアリは、餌とりに出かけられなくなります。

まとめ

アリの武器は、鎌のような口で攻撃するのが一般的です。また、ヒアリやアルゼンチンアリのように針で刺す攻撃も有名です。

ところが、最も優れた攻撃方法は、蟻酸を敵に、噴出することでした。

仲間以外は寄せ付けない排他性(はいたせい)の強いアリ社会では同種のアリでも巣穴が違うと、敵です。

そんな社会で、噛みつき攻撃や針で刺す時の取っ組み合いは、自分も怪我をするリスクを伴います。医者のいない自然界の生き物にとっては、少しの怪我でも生死に関わるでしょう。

これに対して、離れた場所からスプレー攻撃できる蟻酸攻撃や、巣穴を小石で塞ぐ攻撃は、自分が攻撃されにくい戦法です。

蟻酸攻撃や、投石、或いは巣穴を小石で塞ぐ攻撃方法は、進化の過程で、生み出された有効な攻撃方法なのでしょう。

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