ウグイスの鳴き声は、ホーホケキョと聞こえます。とても、響いて素晴らしい声です。ところが、昔、京都から江戸に赴任した僧侶には、江戸のウグイスの鳴き方は濁って聞こえたそうです。記事では、ウグイスの声の地域差について紹介しています。
鶯谷(うぐいすだに)の地名の由来
ウグイスのオスは、「ホーホケキョ」と、美しい声で鳴きます。但し、毎年春になると、ウグイスは鳴き方の練習をします。
ウグイスのオスが美しい声で鳴くのは、繁殖期になって、メスへのアピールをするためです。
そして、秋になって繁殖期が過ぎると、喉の筋肉が上手く働かなくなってしまいます。喉の筋肉が働かなくなると、ウグイスは、地鳴きと呼ばれる「チャ、チャ、チャ」のような声を出して鳴くようになります。
なお、「チャ、チャ、チャ」という声は、メスのウグイスも鳴くことができるので、普段のウグイスの鳴き方なのでしょう。
そのため、春先には親鳥から鳴き方を教えてもらう子供のウグイスだけではありません。春先に発生練習をするのは、繁殖期に備えるウグイスも行っています。
ウグイスの美しい鳴き声は、昔から人々の関心事でした。江戸時代には、ウグイスの鳴き声を競わせる会も催されていました。
そんな時代に京都から上野に赴任(ふにん)してきた住職は、ウグイスの声に不満をもっっていました。
そして、京都から美声のウグイスを運ばせて放鳥したと言われています。
これが後になって、ウグイスが集まる谷として有名になったことから「鶯谷(うぐいすだに)」と呼ばれるようになったのでしょう。
京都のウグイスを江戸に放鳥させた住職とは?
ウグイスを取り寄せて放鳥させた住職は、江戸のウグイスの声に不満を持っていました。
京都のウグイスは澄んだ声ですが、江戸(赴任先)のウグイスの声は濁っていたのです。
京都から住職がやってきたのは、江戸の上野・根津・根岸を領地とする「東叡山寛永寺(とうえいざんかんえいじ)」です。
東叡山寛永寺は、京都から皇族が来て住職位に就く習わしがあったため、赴任したのでしょう。
住職は、京都から3,500羽ものウグイスを取り寄せて「根岸の里」に放鳥しました。この住職は、「公弁法親王(こうべんほっしんのう)」でした。
ウグイスの鳴き声は地域で違うのか?
私は特定地域のウグイスしか知らないため、次の内容からの推定になります。
- ウグイスの子供は親鳥からの指導を受けて鳴き方を学習する。
- 冬は、地鳴きをしていて、春になってから繁殖期用の鳴き方を練習する。
- 鳴き方は、親鳥や付近のウグイスの影響を受ける。
- 放鳥した住職には、ウグイスの声が濁っているという不満があった。
これらのことを総合的に考えると、ウグイスの鳴き方は、江戸時代の昔から「ホーホケキョ」というものでした。但し、音色などの微妙なところは、指導者や周囲のウグイスによって影響されたのでしょう。
そのため、ウグイスの鳴き声は「地域で違う」と考えた方がよいでしょう。
まとめ
人間社会でも方言はあります。方言は、おじいさんやお婆さんから、先祖代々引き継がれて、その地域独特の言い回しが定着したものでしょう。
ウグイスの美しい声はメスをおびき寄せるためと言われています。寒くなると、地鳴きになります。そのため、ウグイスの美しい鳴き声は、毎年リセットされてしまいます。
春先になると練習が繰り返されます。従って、人間の方言のように、地域に定着したものはないでしょう。
そのため、毎年同じ地域のウグイスの声が良いということは無いでしょう。但し、ウグイスは、より美しい声になるように励んで、良い声を真似するでしょう。
そのため、地域によってウグイスの声が、違うように聞こえることはあるでしょう。