働かないアリが増えるとどうなるの?

くつろぐカンガルー アリ
くつろぐカンガルー

アミメアリは日本中で生息しています。アミメアリは、働かない遺伝子を持つ個体がいます。実験では、働かないアリが増えると、コロニーは消滅しますが、実際のアミメアリは、1万年以上も繁栄しています。

アミメアリは不思議なアリ

三重県紀北町(きほくちょう)の働かないアリ(アミメアリ)は、アリの研究者によって発見されました。アリ好きの人には不思議な行動をするアリとして有名です。

アミメアリは日本のどこにでもいるアリです。本サイトでも「アミメアリの社会には女王アリもいなかった」という記事で紹介しています。

今回は、紀北町(きほくちょう)にいることが確認された、働かないアリ(アミメアリ)に焦点を当てて、紹介します。

働かないアリの発見

働かないアリは、1982年頃に、三重県紀北町(きほくちょう)でアリを観察している人が発見しました。以来、さまざまな研究者によって観察研究されてきました。

2013年には、当時の琉球大学の辻和希教授と京都大学の土畑重人研究員の共同研究で、話題を集めました。

《共同研究の内容》
子をたくさん産むけれど「働かないアリ」と、働き過ぎて過労死をまねいてしまう「働きアリ」についての論文です。

アミメアリは、普通のアリと違って、女王アリがいないアリです。アミメアリは、全員が卵を産んで皆でエサを与えて子育てします。つまり、皆、平等です。特別な階級はありません。

一見するとアミメアリは、理想的な社会を作っています。但し、アミメアリの中には、卵を産むだけで、その後は何もしないアリがいることが確認されています。

働かないアリから産まれたアリは働くの?

「働かないアミメアリ」の子は、やはり「働かないアリ」ということが判っています。「働かないアリ」は、遺伝子的に決まっているのです。

そんな働かないアミメアリが多くの卵を産んで子孫が増えると「働かないアリ」が増えてしまいます。何だか、不気味ですね。

働かないアリが増えるとどうなるの?

働かないアミメアリは、働くことにエネルギーを使わなくて済むため長生きして、その分だけ卵を余分に産むことができます。卵はいっぱい産まれますが、「働かないアリ」は、子育てをしません。

働かないアリが増えて、働くアリの比率が少なくなると、働きアリの負担は極めて重くなって、やがて過労死してしまいます。

その結果として、働きアリの数は減って、働かないアリの割合がますます増えてしまいます。

働かないアリだけを集めた実験

働かないアリだけを、集めて一つのビンで飼育すると次の結果を招きます、働かないアリの集団は、掃除もしないため、ビンは汚くなって、多くの卵は死んでしまいます。

実際のアリの巣では、働きアリがいるため暫くは生存できますが、やがて働かないアリが過半数を超えるとエサも無くなります。子供も成長できなくなるでしょう。

そして、巣が汚れて不衛生になると、巣は消滅してしまうことになります。

なお、普通の働きアリの遺伝子は、巣ごとに違うことが判っています。ところが、働かないアリの遺伝子は、どの巣でも同じ遺伝子でした。

このことは、働かないアリのルーツは1つだったことを示しています。そして、働かないアリは、他の巣から入り込んできたことを示しています。

恐らく、働かないアリは、棲んでいた巣が消滅する前に脱出して、別の巣に逃げ込んだのでしょう。

アミメアリが消滅しない不思議

アミメアリは、働かないアリが増えて巣が消滅してしまう危機があります。しかも働かないアリは、どんどん増えてしまうかもしれません。

ところが、アミメアリは、既に1万年以上の歴史があります。何故、アミメアリは、現在も繁栄しているのでしょうか?

研究者たちは、その理由を確認しようとしています。

まとめ

アミメアリは日本中に生息しているアリですが、働かない遺伝子をもっているアリがいることが分かっています。

しかし、遺伝子レベルで、働かないアリが確認されているアミメアリは、1万年以上もの間、生息した歴史を持っています。

アミメアリは、何故、撲滅しないのか、また、働きアリは、何故、働かないアリを攻撃しないで見過ごしているのか不思議です。

社会性昆虫のアリの不思議な行動の解明は、人の社会生活にも役立つかもしれません。将来、アミメアリの、働かないアリの研究は進むでしょう。

そして、私たちに道標を示してくれるかもしれません。すごく期待しています。

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