清楚で魅惑的なカタクリの花

カタクリ 花・野草
カタクリ

カタクリの花は、春の妖精と呼ばれて、万葉の時代から慕われています。多くの市町村から町の花に指定していますが、生存域が減少しています。記事では、カタクリの花の魅力と、アリとの共生関係による、種子の運搬方法等を紹介します。

清楚で魅惑的なカタクリの花とは?

カタクリという花は、ニリンソウなどとともに、春の妖精と呼ばれます。私はカタクリという花も知りませんでしたが、はじめてカタクリを見た時には、美しさに感動する程でした。

もう、とっくにカタクリの花が咲く季節は過ぎましたが、ちょっとうす暗い落葉樹林の下に、陽が射し込んだあたりに咲きます。10㎝程の背丈の先に、うつむいたような薄紫色の花をつけます。

カタクリの花は、キリっとしていて、清々しくて、清楚(せいそ)です。そして、きれいな花には、しとやかさも感じられます。

女性に例えると、若くて前向きで何に対しても真正面に向き合う活動的な人のようです。一見すると、そんな風に見えますが、ちょっと控え目なお嬢さんのイメージも漂っています。

カタクリの花は、万葉の時代には、とうぜん歌に詠(よ)まれています。また、多くのハイカーや登山者たちからも慕われている花です。

現在では多くの市町村から町の花に指定されていますが、絶滅危惧種に指定する都道府県も多く、存続が危ぶまれている花です。

カタクリの開花までの道のり

カタクリは、発芽しても直ぐには花をつけません。

発芽して1年目は、芽を出すだけです。2年目から7年目ぐらいは、春先に楕円形の1枚の葉をつけて、鱗茎に栄養を蓄えることに専念します。

やがて、2枚目の葉がついた頃に、花を開花させますが、開花した年でも、周囲の草木が生い茂ると直ぐに葉を落としてしまいます。

開花した翌年からは毎年開花してくれるものと期待していましたが、カタクリの花は気まぐれです。栄養が不足していると花を咲かせてくれません。

1枚の葉だけを付けて、翌年の開花に向けて栄養補給をすると言われています。ところが、見た目だけでは翌年に花をつけてくれるのかは、全くわかりません。

カタクリの種子散布方法

植物は、移動することができないため、種子に綿毛を付けて風で運搬するなど、さまざまな工夫をして、広範囲に広げようとします。植物は、種子をアリに運搬してもらう方法を持っています。

カタクリも、アリに種子を散布してもらう植物の一種です。

アリとの共生による種子散布方法

カタクリの種子には、エライオソームが付いています。エライオソームには、アリが好む物質が含まれているため、アリは、カタクリの種子を巣まで運びます。

アリは、カタクリの種子を巣の内部に運び、エサのエライオソームだけを巣内に残して、カタクリの種子は巣の外に廃棄します。

巣内の不要物は、腐敗して衛生上の問題が起きるからです。その為、食べられない種子は不要物として、巣の外に捨てられます。

このような行為は、カタクリから見ると、遠方まで種子を運んでもらうことに繋がります。カタクリの種子は、陽のあたるところに置かれるため、種子を広い範囲に散布してもらったことになります。

アリは、エライオソームというエサをカタクリから貰ったことになるので、お互いに利を得る共生関係が成立しています。

これが、カタクリとアリの共生による種子散布方法です。

まとめ

カタクリの花は、ニリンソウなどとともに、春の妖精」と呼ばれます。また、万葉時代には歌に詠(よ)まれていて、多くのハイカーや登山者たちからも慕われている花です。

現在では多くの市町村から町の花に指定されていますが、生存域が減少していて、存続も危ぶまれています。

カタクリの花の生存域が少なくなっている原因は、環境からの影響を受けやすい花ということも影響しているのでしょう。

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