植物が発芽する条件と、タネの休眠について紹介しています。植物の発芽には、大きなエネルギーが必要です。そのため、発芽条件とは別に、種ごとに、条件がそろうまで待ちます。そして、発芽するだけで養分が枯渇しないように確認しながら発芽します。
タネの休眠とは?
タネの休眠とは、発芽の3条件がそろっても発芽しないで、じっくり条件が整うのを待っている状態です。
このような植物には、発芽の3条件がそろっても、光合成が出来なければ直ぐに養分が無くなると分かっているのでしょう。
発芽の3条件とは?
タネが芽を出すには特別な条件が必要です。その中でも、3つの条件は無くてはならないものです。
タネが発芽する第1条件は、水分です。これは誰でも知っているでしょう。花屋さんでタネを買ってきて、鉢植えする時には、土の中にタネを蒔いてから水をかけますから。
2つ目は適温です。極寒では、芽を出しても直ぐに枯れてしまうため、暖かい気温が必要なことも想像できそうです。
最後の3つ目の条件は、光だと思っていましたが、空気(酸素)でした。タネは、乾燥している時にも生きるために呼吸しているからです。
植物が発芽するには、硬い殻を破って芽や根を出すために、多くのエネルギーを使います。この時に、多くの酸素を吸ってしっかり呼吸をしなければなりません。
つまり、種子の発芽の3条件は、「水」・「温度」・「酸素」でした。
私は、植物と言えば光合成だと思い込んでしまい、発芽の3条件に「光」は必須だと勘違いしていました。
良く考えてみれば、種をまく時には大抵、土の中に埋めてしまうため、タネには、多くの光は届いていませんものね。
発芽する時のタネの栄養
発芽の3条件がそろって、タネが殻を破って根を出す時には、タネの中に蓄えていた養分で生長します。
但し、その後は、太陽の光を使う光合成で、水と二酸化炭素から養分となる、糖を生成しなければ養分が不足して枯れてしまいます。
そのため、発芽の3条件がそろっても、タネの状態から変化しない植物はあります。
実は、タネの発芽には、光が当たると、促進されるものと、抑制されるものに分けられます。これは、ドイツの植物生理学者キンツェル氏が1926年に発見しています。
キンツェル氏によって分かったこと
キンツェル氏による965種の植物の調査で、次のことが確認されています。
- 光で発芽が促進されるもの・・・672種(約70%)
- 強い光で発芽が抑制されるもの・・・258種(約27%)
- 光が影響しないもの・・・35種
このデータを見ると、発芽の3条件がそろっても、約70%の植物のタネは、発芽しないことになります。
タネが休眠するとは?
発芽の3条件がそろっても、約70%の植物のタネは発芽しません。発芽の3条件だけでは、直ぐに養分が尽きてしまうため、不安なのでしょう。
このように、発芽の3条件がそろっても発芽しないで、じっくりと自分に合う条件が整うのを待っている状態を、タネの休眠と呼びます。
まとめ
タネの休眠とは、発芽の3条件(水・温度・酸素)がそろっても発芽しないで、自分にあう条件が整うのを待っている状態でした。
つまり、タネが芽を出す時には、基礎的な発芽の3条件が揃った上で、植物の種類による条件が揃っていたのです。
生きるか死ぬかの自然界では、誰も助けてくれません。種の中に蓄えられた養分だけを当てにしていては、直ぐに枯渇して枯れてしまいます。慎重にならざるを得ないのでしょう。
きっと、土の中に埋められるタネも浅い土の中で、太陽光線をうっすらと感じられるのでしょう。
そのため、光で発芽が促進される種のタネを蒔く時には、浅い場所に蒔くのが良いことになります。
ちなみに、光で発芽が促進されるものを、光発芽種子と呼びます。光発芽種子は、ミツバ、シソ、レタスなどが該当します。強い光で発芽が抑制されるものは、暗発芽種子と呼ばれていて、カボチャ、トマト、キュウリ、シクラメンなどが該当します。