多くの植物は動けません。動物からみると、不便に見えますが、逆に植物から見た動物は、年中動き回っていて、可愛そうだと思われているのかも。この記事では、動けない植物が、生きられる理由を、分かりやすく紹介しています。普段の世界とは異世界です。
植物が動き回らなくても生きていける理由
多くの植物は、動物と違って動きません。
動物は動き回ることが大好きで、どこにでも出かけられる楽しみを知っています。そういう私達から植物を見ると、根を張って動き回ることができない植物はつまらないだろうと感じてしまいます。
逆に、じっとしている植物から動物を見ると、動物たちはいつも動き回っていて大変だろうなと感じているのかもしれません。
《動物が動き回る理由》
動物が動き回る大きな理由は、食べ物を探すためです。
草食動物は生きるために草などの植物を食べ、肉食動物は草を食べる草食動物を食べなければ生きていけないからです。
ところが多くの植物は、同じ場所から動きませんし、動物を食べなくても生きていけます。
植物が動かなくても生きられる理由は、光合成をすることで、生きるための栄養を作り出しているからです。
光合成って何だろう?
光合成は、太陽光線のエネルギーで、水と二酸化炭素から糖分を作ることです。植物は光合成で、生きるために必要な糖分を作り出すことができます。
植物は、光合成で糖分を作るだけでは、ありません。植物は、土壌に含まれる栄養分を根から吸収するので、動けませんが、自分で、全ての物質を調達しています。
そのため、植物は食べ物を探して動き回る必要がないのです。
独立栄養生物
植物は、生きるための栄養物質を全て自分で確保しているため、独立栄養生物と呼ばれています。
従属栄養生物
動物は植物を食べる草食動物や、その草食動物を食べる肉食動物のように、自分たちで必要な栄養分を作り出すことはできない生物です。そのため、動物は、従属栄養生物と呼ばれています。
植物の祖先は他の生物から光合成を獲得した
動物は光合成できませんが、植物は何故、光合成が出来るのでしょうか?
その秘密は、植物の細胞内には光合成を行う、葉緑体があるからです。葉緑体は動物の細胞内にはありません。
細胞膜内に葉緑体を持っている植物は光合成をすることができます。ところが、葉緑体は別の単細胞生物だったと言われています。
葉緑体は独立した単細胞生物だった
植物の細胞膜内の核には遺伝子がありますが、それとは別に葉緑体の中にも葉緑体としての核を持っています。このことは、葉緑体は、独立した単細胞生物だったことを示唆(しさ)しています。
つまり、葉緑体は、大きな単細胞生物に取り込まれた後に、細胞の中で共生するようになったということです。これは細胞内共生説というもので、現在の生物学で有力な学説です。
言い方を変えると、植物の祖先は大きな単細胞生物と、光合成のできる小さな単細胞生物が出会うことで生まれたと考えられています。
まとめ
植物は、生きるための栄養物質を全て自分たちで確保できる、独立栄養生物です。そのため、植物は動物のように、他の生物を食べる必要がありません。
植物は、栄養物質を自分で確保できるため、動物のように、食べ物を探す必要もありません。
これが植物が移動しなくても生きていける理由です。これは画期的なことです。