カミキリムシは害虫ですが、見た目も様々で、興味は尽きません。世界中に3万種、日本にも800種のカミキリムシが生息しています。この記事では、カミキリムシの生態の一部を紹介。カミキリムシは、数の多さだけでなく、生態も様々ということが分かります。
カミキリムシは害虫だけど人気者
カミキリムシは、世界中で約3万種も知られていて、国内には800種を超える種が生息しています。
カミキリムシは色や形、模様などが美しいため、樹木を枯れさせてしまう害虫と言われながらも、愛好家が多い事で知られています。
次に、一般的なカミキリムシの生態や食べ物などについて紹介します。
カミキリムシの生態
カミキリムシは、完全変態昆虫です。尚、次のような事情から、カミキリムシの生態を一般化するのは困難です。
カミキリムシの一生
カミキリムシは次のように成長します。
卵(1~2週間でふ化)→幼虫(数ヶ月から数年:種によって期間は異なる)→さなぎ(2~4週間)→を経て成虫になります。
成長期間は、種による違いだけではなく、カミキリムシがいる環境(温度や湿度等)によっても大きく影響を受けます。そのため、一概に、こうだとは言えません。
そのため、寿命も1年のものが、2年になることもあります。
特に、カミキリムシが寄生している環境が乾いていると、成長は遅延します。また、日当たりが良いと短縮されることもあります。
さらに、サナギの時に越冬や休眠をすると、羽化は翌年に延びてしまうと言われています。
カミキリムシの生態を、言いにくい理由は、このように周囲の環境によっても、育ち方が違ってくるからでしょう。
ただし、このような特徴も、カミキリムシの生態です。
以上のように、種の多いカミキリムシの一般的な生態は、決めにくいことは理解していただけたと思います。尚、このように、栄養摂取状態や環境の違いで、成長速度などが変わることは、植物にも見られます。
自然界で生き残るのは動物も、植物も大変なのでしょう。
それは分かりますが、ある程度の目安は必要でしょう。そのため、北海道から九州まで広く分布するアカハナカミキリを例にして、カミキリムシの生態を紹介することにします。
アカハナカミキリの産卵からサナギまでの生態
- 産卵
卵は、針葉樹の枯れた木(立ち枯れのものや倒木、切株等)の亀裂や、他の昆虫等が空けた脱出孔等に産みつけられます。 - 幼虫の食べ物
幼虫の食べ物は、朽木(くちき)が腐食して褐色に色づいた状態を好みます。 - 幼虫〜さなぎ〜成虫
幼虫は、腐った木の中で孵化(ふか)してから2年後の初夏に、朽木(くちき)内にサナギの部屋(楕円形)を作ります。サナギになることを、蛹化(ようか)と呼びます。そして、サナギから約2週間で羽化して成虫になります。
カミキリムシの成虫の食べ物
サナギから、ふ化した成虫のカミキリムシが食べることを、後食(こうしょくや、ごしょく)等と呼びます。
カミキリムシは、さなぎからふ化して成虫になると種によって食べるものは様々です。
- 花・花粉・蜜・花弁など
ハナカミキリ亜科、カミキリ亜科の多くは、植物の花、花粉、蜜、花弁などを後食します。 - 樹液や樹皮など
カミキリ亜科のミヤマカミキリはクヌギ等の樹液を吸います。フトカミキリ亜科の多くは、生木だけでなく、腐朽木の樹皮を食べます。 - 木の葉など
次のフトカミキリ亜科のカミキリムシは、とても綺麗で魅力的な姿をしています。そして、木の葉っぱを後食します。
トホシカミキリ族、キクスイカミキリ族、フサヒゲルリカミキリ族、ヒゲナガカミキリ族、シロカミキリ族は、葉を食べます。
さらに、彼らは、生木や草本の葉や茎なども食べます。また、生木だけでなく、枯れ葉等も後食します。(クワカミキリは、桑の木の若い枝を後食します)
以上は、様々なカミキリムシの一般的な食べ物ですが、菌類や、木のヤニ(樹脂)を後食するカミキリムシもいます。
- 菌類など
フトカミキリ亜科のセミスジコブヒゲカミキリは、エゴノキという広葉樹に生えるエゴノキタケなどを後食します。また、ケハラゴマフカミキリは、クスノアザコブタケという菌類を後食します。 - 木のヤニ(樹脂)など
サビカミキリやオオマルクビヒラタカミキリは、主にマツ科(針葉樹)のヤニを後食することが知られています。
まとめ
日本のカミキリムシは、800種類もいて、世界中では3万種もいます。
カミキリムシは害をもたらすため、多くの人が被害を受けていますが、カミキリムシの顎の力は強くて、子供達の憧れの昆虫です。
カミキリムシは、様々な種類がいて、大きさだけでなく、背中の模様や長いひげにある模様も多様です。
カミキリムシは、生態もさまざまで、興味が尽きない昆虫です。