鳥の気嚢と脈管系の働き

飛ぶ鳥
飛ぶ鳥

鳥が空を飛ぶためのエネルギー量は想像以上に過酷です。この記事では、鳥が持っている飛ぶための特別な呼吸器システムと言われる筋肉に大量の酸素を送る気嚢(きのう)と筋肉に栄養分を供給する脈管系の、仕組みについて分かりやすく紹介しています。

鳥の気嚢が担う役割

鳥類の気嚢(きのう)は、空気の袋という意味です。この袋は9つもあって全て肺につながっています。

気嚢は空気の袋ですから、その役割は、飛んでいる時の浮力を支えるためと考えられていた時期もありました。

その後の研究で、鳥の気嚢は、肺と気嚢を結ぶ一方向の特別な循環システムと分かりました。

気嚢は、蓄えられた空気を円滑に肺に送り込むなどの働きをしています。

鳥が飛ぶ姿を見ると羨ましくなりますが、空中を飛ぶには想像以上のエネルギーが必要です。運動量に見合った酸素を肺から筋肉に供給するため、鳥は気嚢でサポートしていました。

つまり、気嚢は、鳥が飛ぶ時にどうしても必要な、効率的な呼吸器の仕組みでした。

鳥が飛ぶための羽ばたきを生む筋肉

鳥には、飛ぶために翼を動かす大胸筋(だいきょうきん)と小胸筋(しょうきょうきん)という筋肉があります。大胸筋は翼を羽ばたき下ろす筋肉で、飛んで前進するための特別強力な筋肉です。小胸筋は、ふり下した翼を持ち上げる筋肉の役目をしています。

これらの筋肉は高性能エンジンに相当するため、大量の酸素と栄養分が必要です。

筋肉を動かすための器官と働き

筋肉に酸素を送り込む呼吸器系(肺と気嚢)と、血液で酸素と栄養を送る脈管系(みゃくかんけい)は、飛ぶための大切な器官です。

肺と気嚢による循環システムで肺に送られた大量の酸素は、肺で血液に受け渡されます。血液内に大量の酸素を受け取った脈管系は、その酸素とともに腸管から吸収した栄養分を筋肉に送りこむ働きもしています。

このような呼吸器系と脈管系の連動で、鳥は空を飛ぶことが出来るのです。

呼吸器系と脈管系の連動で、筋肉に大量の酸素と栄養分が供給されます。すると、筋肉運動が翼を羽ばたかせる運動エネルギーに変換されて、飛ぶことができるのです。

筋肉で発生した熱処理と排気ガスの排出をサポートする気嚢

筋肉の運動エネルギーは、鳥に飛ぶ力を与えますが、同時に高温の熱と排気ガスとなる二酸化炭素も発生してしまいます。この二酸化炭素は、呼気(こき)で排出されるため肺に運ばれます。

この時にも、気嚢は大切な役目を担っています。気嚢は、発生した熱の吸収と排出した二酸化炭素を血液中に取り込んで、再び肺に運ぶ働きをします。

このように熱の放出や、二酸化炭素の排出を効率的に行なうシステムが、肺と気嚢を結ぶ一方向の循環システム(含む脈管系)です。この循環システムの働きで、鳥は飛べるのです。

まとめ

鳥が飛ぶ姿は素晴らしいですが、空を飛ぶには想像を絶するエネルギーが必要です。羽を羽ばたかせるには筋肉運動が必要です。そして、筋肉を動かすには、大量の酸素と栄養分を効率的に筋肉に届けなければなりません。

また、飛ぶための運動エネルギーは鳥の体温上昇と排気ガス(二酸化炭素)を発生させます。そのため、これらも効率的に排出しなければなりません。

鳥は、これらの難題をクリアーして、飛ぶために必要な特別な呼吸器システムを持っていました。

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