地球上の生物で最も品種の多い昆虫は、深海以外ならどこにでもいます。この記事では、過酷な環境で生息する昆虫の例を紹介しています。昆虫は、小さな体ですが、環境に応じた進化を遂げています。そんなところにも、昆虫は進出していたのかと驚くでしょう。
昆虫の驚くべき環境適応性
昆虫は、深海を除いた場所なら地球上のどこにでもいると言っても過言ではないでしょう。すごい環境適応能力です。
昆虫は、人間からみると、とても厳しい環境で暮らしています。でも、昆虫の環境への適応能力は、凄まじいと言わざるを得ません。人間が気が付いた時には、既にその環境でなければ、生きていけない体に進化しています。
次に、特に厳しい環境で生活する昆虫の事例を紹介します。
極低温で生息する昆虫
日本でもトビムシはいます。落ち葉の下や土の中にいますが、トビムシという昆虫は、北極や南極にも分布しています。
トビムシがどうやって、そんな過酷な環境で生息できるのか不思議です。
北極や南極に生息するトビムシは、血液の代わりに、不凍液を体内に蓄えて体の凍結を防いでいました。
また、氷河や雪上のみで生息する、セッケイカワゲラも寒さに強い昆虫です。きっと、セッケイカワゲラもトビムシの様に、凍結防止の工夫をしているのでしょう。
セッケイカワゲラの幼虫は、春と夏の期間は、水中で過ごします。セッケイカワゲラは、成虫になると、雪上を歩きまわって樹皮やコケのかけら等を食べて生活します。
雪上などで裸で生活するなんて、人間には考えられませんが、セッケイカワゲラは、高温には極端に弱いそうです。
セッケイカワゲラは、人の手に乗せるだけで手の体温で失神してしまうと言われています。
昆虫は、人間からみると、とても厳しい環境で暮らしていますが、その環境でなければ、生きていけない体になって、生活しているのでしょう。
高温地域で生息する昆虫
高温に強い昆虫は、トビムシ・ユスリカ・ミギワバエなどが知られています。
乾燥地域で生息する昆虫
乾燥地域の昆虫と言えば、ネムリユスリカが有名です。ユスリカの仲間は、厳寒の寒さから、砂漠のような乾燥した環境でも生きのびる昆虫です。
特殊環境で生息する昆虫
海で生息する昆虫と言えば、ウミアメンボです。ウミアメンボ属の昆虫は、46種いますが、大部分は沿岸で生活しています。ところが、46種中の5種は外洋に広大な分布域を持っていました(大西洋・太平洋・インド洋)。
しかも、ウミアメンボには翅がないため海表面でのみ生活しています。
ウミアメンボとは別に、浅い海水中に、ウミユスリカという昆虫もいます。
海よりも厳しい環境と思われる塩田には、オオツノハネカクシという昆虫がいます。オオツノハネカクシは、全国の塩田に生息して塩田に被害を与える害虫として知られています。
さらに、セキユバエという昆虫は、幼虫時代には原油のプールの中で生活しています。
セキユバエは、成虫になると普通のハエのように見えます。原油に落ちて死んだ昆虫などをエサにしています。
もっと驚いたのは、有毒ガスを放出する硫黄孔に生息する昆虫です。その昆虫は、ハンミョウや、ユスリカの仲間です。
以上のように様々な厳しい環境に適応できる昆虫の仲間は、元々は高温多湿な熱帯地方で誕生したと言われています。
やがて標高が高く高緯度で寒冷な地域、さらには、砂漠などの乾燥地帯などにも進出して、徐々に適応していったのでしょう。
今のところ、海で生活する種類は限られていますが、環境の変化などで、多くの昆虫が海中で生活するようになるでしょう。そして、やがては深海に進出して行くでしょう。
昆虫が厳しい環境で生息する理由
温暖な気候の方が食べ物は豊富で生息しやすいですが、厳しい環境なら、過酷な生存競争はしなくても済みそうです。
昆虫が、厳しい環境に進出する理由は解明されていません。但し、過酷な生存競争を避けるために生息場所の開拓をしたというのも、一つの答えでしょう。
まとめ
地球上で最も品種の多い昆虫という生物は、深海以外の環境には、ほぼ進出していました。
昆虫が、厳しい環境に進出する理由は、ライバルが少ない場所を求めた結果でしょう。現在、昆虫が生息していないのは深海だけと言われていますが、いずれは深海にも生息場所を求める昆虫が出てくるかもしれません。
人間は、技術力を進化させて、短期間に厳しい環境でも耐えられるようにしてきました。
昆虫は、長い年月をかけて、体の構造を環境にマッチさせる方法で進化してきたのでしょう。