花瓶の花を長持ちさせる方法

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植物が水分を吸い上げる機構は、毛細管現象と、葉が水分を蒸発させる時に水分を引き上げる、蒸散力の2つの力です。この記事では、植物の水分の引き上げ方の仕組みの説明から、花瓶の挿し花を長持ちさせる方法を紹介しています。

花瓶に挿す時のポイント

切り花などを花瓶に挿す時には、根はありませんが、茎には道管があります。そのため、切り花も、地中に根をはっている時と同様に、毛細管現象や蒸散力で花瓶内の水を吸い上げます。

植物の道管内は、蒸散力で上に吸い上げられて、陰圧になっています。そのため、花瓶に挿そうとして茎部分を切り離すと、空気が入ってしまいます。

空気が入ると水を引き上げる力は低下するため、植物を花瓶に挿す時には、水中で茎を切り離すことが推奨されています。

水中で茎を切り離せば、茎内の水柱が途切れません。そのため、水分を吸い上げる力は残ります。結果として、花瓶の花を長く咲かせることができるのです。

植物の水分の引き上げ方

植物は、地中の水分を根から取り込んで、地上の茎や葉に送っています。この仕組みはどのようになっているのでしょうか?

地中の水分を地上部に送る方法

植物の根の中心には、上に伸びる道管があります。道管は、植物の細胞が死んだもので、中身は中空で細い毛細管の役目をしています。

毛細管現象

細い管の一端を液体に浸すと、重力に逆らって液体が管の内部に浸透していきます。そして、管内の液体が元の液体の水平面より高くなる(或いは低くなる)ことがあります。この現象を毛細管現象と呼んでいます。

もう少し詳しく説明すると次のようになります。

毛細管現象は、液体の表面張力、固体と液体の濡れやすさ、毛細管の直径の3つに働く力が関係しています。

水は、水どうしの間で凝集力という力が働いてお互いを引き合っています。水面の水の分子は空気に接しているため、水中に引っ張られて表面が丸くなります。このとき、水面に働いている力が表面張力です。

細い管を水につけると、水どうしに働く凝集力よりも管壁と水の分子との間に働く力の方が大きくなります。個体と液体の濡れやすさの違いです。そのため、水は管の壁に引き寄せられて上がっていきます。そして、引き寄せられる力と元の水面から上昇した水の重さがつり合う位置で止まります。

この時、管が細いほど上昇した水の重さは軽くなるので、水はより高い位置まで移動していくことができます。つまり、毛細管の直径が小さいほど高いところに引き上げることができます。

植物の水の吸い上げ方

最初に、根はエネルギーを使って地中の水分を道管に送りだします。道管に送られた水分は、水柱になって毛細管現象で、幹や葉の方向に引き上げられます。

道管の直径は非常に細いですが、毛細現象の力だけでは、安定して水分を引き上げられません。

そのため、植物は次のような力を使って水分を引き上げています。

植物は、葉の表面にある気孔から水分を蒸発しています。葉からの水分の蒸発は、葉の温度の適正化をするのと併せて、根からの水分を引き上げる力(蒸散力)になります。

植物は、蒸散力と毛細管現象による吸い上げ力で、水柱を引き上げています。

まとめ

植物が地中の水分を枝や葉に押し上げる時には、毛細管現象と、葉から水分を蒸発させて水分を引き上げる蒸散力を使っていました。

花瓶に挿す花を長持ちさせるには、花瓶内の水を吸い上げて花に供給することが前提です。そのため、花瓶に挿した植物の道管内に空気を入れない工夫が必要です。

挿し花の場合は、道管内に空気を入れにくくするには、水中で茎を切れば良いことになります。

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