常緑樹の中でも丸くて平べったい葉をした常緑広葉樹は、一年中、緑の葉をつけています。日照時間の少ない真冬でも光合成をするためですが、氷点下になる真冬でも葉を付けていられるだけの工夫をしていたからです。記事では、常緑樹の工夫を紹介しています。
常緑樹の葉は、なぜ真冬でも凍らないのだろう
常緑樹の葉は、真冬でも付けています。本来なら氷点下以下になって、葉も凍って、枯れてしまうはずです。
葉が凍らないのは次のような理由でした。
凍る温度を低くする方法
水道水は普通の環境なら「0℃」で氷になりますが、水道水に不純物(例えば砂糖)を入れると、凍る温度(凝固点)が下がって、0℃でも凍らなくなります。
つまり、葉内の水に不純物を入れれば、「0℃」になっても凍らなくなります。
常緑広葉樹が行っていたこと
常緑広葉樹は、真冬に備えて、次のようなことをしていました。
- 葉の糖分を増やしていた。
- 葉のビタミン類やアミノ酸の含有量を増やしていた。
このような対応で、常緑広葉樹は、真冬になっても葉が凍らなかったのです。
常緑樹の常緑の仕組み
植物の葉は、光合成をしてエネルギーの糖を得ていますが、冬になると光合成に必要な太陽光線が届きにくくなるため、多くの植物は、葉を落とします。
常緑広葉樹は、アオキ、アラカシ、アカガシ、アオガシ、ツバキ、アメリカヒイラギ等です。これらの植物は一年中、緑の葉を付けているため、常緑広葉樹と呼ばれています。
常緑広葉樹は、恐らく、太陽光線の届きにくい冬でも光合成をしたかったのでしょう。その代わりに、真冬になっても葉が凍らないように、葉内に養分を取り込んで凝固点を下げていたのです。
まとめ
真冬でも緑の葉をつけている常緑広葉樹は、冬の寒さで凍らないように、水分が凍ってしまう凝固点を下げていました。
凝固点を低い温度にするための方法は、葉内の糖分とビタミン類やアミノ酸を増やすことです。
冬に出荷される野菜などの工夫
冬に出荷される野菜などでは、常緑広葉樹が凍り付かないようにする工夫と、同じ手法で野菜を美味しくしていました。
- 温室栽培野菜に対して、出荷前の一定期間に、寒風をさらして糖分やビタミン類・アミノ酸を増加させていました。
- 雪下ニンジンの糖度は、普通のニンジンの2倍あります。雪下ニンジンは秋に収穫しないで、雪に埋もらせていたのです。
- 富山県では、厳しい冬の気候を生かして、さまざまな野菜を寒さにさらしていました。こうすることで、糖分やアミノ酸、ビタミン類が増えた、美味しい野菜ができました。
ダイコンなどを雪に埋めると甘みが増しておいしくなります。植物は真冬の寒さでも実を凍らせないために、糖分などを増やすことで凝固点が低くなることを知っていたようです。
改めて、生き物たちの生きるための工夫には、驚かされます。