桜の花は、日本の春を思い浮かべます。ウィルスが流行する以前は、海外の観光客もお花見にやって来るため、桜は日本の固有種だと思っていましたが、他国にもある植物でした。但し、お花見は日本で定着した文化です。お花見の歴史などについて紹介しています。
桜の分布地域
桜は、バラ科サクラ亜科サクラ属に分類されていて、北半球の温帯地域に分布している植物でした。
日本には桜の種類が多いことや、昔からお花見を楽しんでいたこと、さらに「ソメイヨシノ」という素晴らしい桜が全国に広がったこと等から、お花見は、日本人の文化として楽しむようになりました。
このような理由から、桜は日本の固有種のように錯覚していましたが、他国にもある植物でした。
そうは言っても、桜は、日本人の心の故郷のようになっています。次に、お花見の歴史などについて紹介します。
お花見のルーツ
お花見のルーツは、貴族たちが梅の花を短歌などで読み、宴(うたげ)を楽しんだことから発展したものと、豊作を願った農民たちが行っていた神様に捧げる儀式が発展したもの等が合わさったものと言われています。
特に、農民たちにとっては、寒くて辛い冬が終わり春を告げる桜の花は、神様がおたち寄りになる依代(よりしろ)として崇められたことでしょう。
桜の木の根元に、お神酒(おみき)やお供え物の食材を置いて、豊作を願いながら、春が来た喜びで、お祭りのような雰囲気に満ちていたことは想像できます。
桜の花見は、農民たちの豊作を願う儀式や、風情に満ちた貴族の花を愛でる慣習などが合わさったものと言われています。
日本のお花見が盛んになった理由
8代将軍の吉宗が庶民向けの花見公園を造った頃から、一般庶民の楽しみとして広がっていきました。
江戸時代の末期になると、桜の花を愛でることが習慣化して、植木職人による交配も盛んになりました。
そんな気運の中で誕生したのが、江戸の染井村で作られた「ソメイヨシノ」です。「ソメイヨシノ」は人々を魅了しました。
「ソメイヨシノ」は、接ぎ木としてしか、増やすことのできないクローン品種のため、同じ気候になる地域では一斉に咲いて、惜しまれながら一斉に散るという特徴を持っていたことも、人々の心を捉えて大切な季節行事として定着したのでしょう。
現在では、桜前線予報がテレビニュースで報道される程の、国民的な民族文化行事になっています。
現代人の心をつなぎとめる大切なお花見
現代社会は、大家族も少なくなり、会社の行事も面倒と感じてしまう時代です。アパートやマンション暮らしだけでなく、一戸建てでも隣近所との繋がりは少なくなっています。
そんな現在でも、桜の咲くお花見と聞いただけで、気持ちはワクワクしてきます。サラリーマンにとっては、会社の行事で唯一楽しめるものと言っても良いでしょう。
まとめ
お花見は、現在の日本人にとっても、人との繋がりや新しい環境に馴染むための大切な心の行事なのです。
少し肌寒い時期に外で飲んだり食べたりして喜べるのは、昔の人々と同じように春を迎えて「新しい年を実りのあるものにしょう」というような期待感があるからかもしれません。