逆立ちしたコガネムシが、丸い糞を転がしている様子は、子供の頃からの憧れです。地球がうんこだらけにならないのは、糞コロガシのお陰だと聞いたこともあります。この記事では、コガネムシの巣作りや、日本のダイコクコガネの巣作り等を紹介しています。
憧れの糞ころがし昆虫
子供の頃、ファーブル昆虫記でコガネムシが逆立ちして一生懸命、丸い糞を転がしている様子を見て興奮しました。
ファーブル昆虫記の虫は、タマオシコガネという昆虫です。タマオシコガネはシャベルのような特殊な頭部の前縁を使って、牛糞等から糞玉を作ります。
そして、糞玉をコロガシて穴まで運びます。糞玉を巣に運ぶと、ゆっくり食べるそうです。
糞玉は、食べ物としての役目の他、育児用としても用いられています。
殆どの男の子は、面白いものの代表としてウンチが好きでした。もちろん、嫌いな子供もいますが、大人の世界でタブーとして扱われているウンチには興味を持っていました。
そして、多くの子供(男の子)はコガネムシも好きでした。私は、コガネムシが糞を転がしている様子には驚きました。なんて面白いんだ!
コガネムシのような糞虫は、糞の中に産卵します。そして卵から孵化(ふか)した糞中の幼虫は、周りにある糞をエサにして成長します。
動物の糞を食べるとは、本当に無駄がない合理的な生き物です。
次に、糞ころがし昆虫(糞虫)の、育児巣を紹介しましょう。
コガネムシの育児用の糞玉
多くの糞虫(糞ころがし昆虫の仲間)は、糞玉を作らないで糞の中に直接産卵します。
日本にいるダイコクコガネは、残念ですが糞玉をころがすことはしません。但し、糞玉を作って、その中に産卵します。
コガネムシの種類によって、育児のための巣のタイプは異なります。次にそれらを紹介します。
- 糞ころがしタイプ・・・ティフォンタマオシコガネ、マメダルマコガネ等
これらのコガネムシは、頭部のヘラで糞を切り出して糞玉を作ります。この糞玉に逆立ちして、後ろ脚ではさんで転がします。糞玉を適当な場所に運んだら、糞玉の中に産卵して、地中にうめます。 - 糞内に巣を作るタイプ・・・カクガタタマオシコガネ
カクガタタマオシコガネは、糞の塊の中に空洞を作って、その中に糞玉を作ります。産卵は、糞玉の中にします。 - 糞下の地面に穴を掘って、そこに糞を詰め込むタイプ・・・センチコガネ、ツノコガネ、コブマルエンマコガネ、ダイコクコガネ等
このタイプには、2つあります。1つ目は、穴形状に沿って詰めた糞の中に、そのまま産卵をするものです。もう1つは、穴に詰め込む糞を糞玉に加工してから産み付けるものです。糞玉への産卵は、1個です。 - 糞内、または、糞下の地面に産卵するタイプ・・・マグソコガネの類
孵化(ふか)した幼虫は、糞の内部を動き回って糞を食べて成長します。
コガネムシが利用する糞
糞ころがし等の糞虫が使う糞は、大型の草食動物(像、牛、馬)の他、雑食動物の犬やサルのものなどです。コガネムシは動物の種類は問いません。
地下に生息して糞を食べる虫には、モグラやミミズの糞を利用するものもいます。
日本のダイコクコガネの巣作りと子育て
日本の放牧地などに生息するダイコクコガネの巣作りは、牛糞等の下で、こっそり行われます。
夜になると、オスとメスのダイコクコガネは、糞の下に潜り込んで、2匹で糞下に細長い縦穴を掘ります。その先の地下30㎝ぐらいのところに巣穴を作ります。(尚、多くのオスは、この作業の途中でどこかに行ってしまいます。)
メスは、縦穴を往復して、巣穴に糞を運びこんでソーセージ状に固めます。次に、へら状の頭部でソーセージ状の糞を切り取って、楕円形の糞玉にします。
産卵は、糞玉内にします。糞玉の上部に穴をあけて、細長い卵を1つ産んで、穴を塞いで完成です。ところが、卵を5個位産むため、ソーセージ状の糞の切り取りから同じことを繰り返します。
その後、糞玉内でふ化した幼虫は、糞玉の内部を食べて成長します。そして、さなぎになってから越冬します。越冬の間はメスも巣穴に留まります。
越冬したさなぎは、初夏になると羽化して成虫になります。
まとめ
日本にいるダイコクコガネは、糞玉をころがすことはしませんでした。
ダイコクコガネは、牧場などの糞の下の地面に穴を掘って巣を作っていました。
ただし、ダイコクコガネの糞作りを想像すると、大変な作業です。卵も、5ヶ程産むので、ウンチの加工を5回もしなければなりません。
糞虫と言われる昆虫の仲間は、糞をエサにして、糞を使って子育てをします。考えてみると究極のエコ生活ですね。
本当に、御苦労様です。