セミは、昆虫の中では長寿です。記事では、北米で大量発生する13年周期ゼミや、17年周期ゼミが、長寿命化した原因や、他の周期ゼミが絶滅したのに、彼らだけが生き残った要因を推測しています。周期ゼミは、分かっていないことも多く興味はつきません。
セミの寿命
子どもの頃は、セミは地面から這い出て来て成虫になると、7日間ほどで寿命を全うすると教えられました。親からは、セミの寿命は短いので採集しては可哀想だと言われました。
ところが、近年になって行われた広島県の高校生の調査で、7日間ではないことが分かりました。高校生の調査でも短寿命ですが、アブラゼミは32日間、ツクツクボウシは26日間、クマゼミは、15日間も生きていました。これらは、いずれも生きていた最長期間です。
幼虫時代のセミは、種類によっても違いますが、土の中で暮らす期間は、3年から17年と言われています(アブラゼミは6年です)。人間からみると、暗い地面の中での生活は長くても、可哀想と感じますが、セミの本当の気持ちは分かりません。
実は、セミの寿命は、他の昆虫に比べると長いです。
北アメリカの周期ゼミの寿命
北アメリカでは、セミの種類によっては、成虫になる周期があって大発生の年があります。
このようなセミのことを周期ゼミと呼びます。アメリカ南部は13年周期、アメリカ北部には17年周期のセミがいます。周期ゼミも、他のセミと同様に脱皮しながら地下で成長していて、17年周期のセミは17年間も幼虫生活をしています。
つまり、北アメリカの周期ゼミは、13年あるいは、17年もの長寿命でした。
《セミ公害と呼ばれる周期ゼミ》
周期ゼミが発生すると、想像以上に大変なことになります。およそ、畳1畳ぐらいの面積から1000匹ものセミが出現するので、鳴き声のすさまじさは、セミ公害と言われる程です。
大発生の地域では、これを楽しむ人々も現れて、セミが大合唱しているところでコンサートを開いたり、セミの揚げ物を食べたりします。
もっと酷いのは、羽化したばかりのセミにチョコレートを絡めて、カクテルに載せるなどして楽しみます。
また、13年や17年の周期で大量発生する理由は判っていないため、多くに推測説も楽しめます。
周期セミが長寿の理由
セミの祖先は、2億年前には出現していましたが、200万年前の地球は氷河期でした。温暖な気候でなければ生きられないセミの祖先は、幾度となく氷河期のような寒冷気候でも生きのびてきたことになります。
恐らく北米大陸の暖流付近や盆地では、比較的あたたかい場所もあったため、生息できたのでしょう。
比較的あたたかい地域でも、セミにとっては寒いため、成長に要する期間は長くなります。そのため、地表に出てくるまでの期間が長くなったのでしょう。
このため氷河期の寒い時代には、北部のセミは、14年〜18年周期で地中から出てきたと言われています。南部のセミは、12年〜15年周期でした。
つまり、周期ゼミが長寿な理由は、寒さで成長に要する期間が長かった為と考えられます。
では、何故、13年と17年の周期ゼミだけが、現在まで生き残ったのでしょうか?
13年と17年の周期ゼミだけが生き残った理由
13年と17年の周期ゼミだけが生き残った原因は、まだ確認されていませんが、次のように推測されています。
「違う周期のセミが交雑すると、セミの子孫の出現周期が乱れると考えられます。」
そして、セミの出現周期が乱れると大量に発生する天敵の出現周期とも出会ってしまうため、絶滅の要因になるでしょう。
《13と17の特別な意味》
13と17という数値は素数です。素数というのは、1と、その数だけでしか割れない数値です。小さな素数は、2と3です。
周期が2年と3年の場合は、6年後には両者が同時に、穴から出て来て出合って、交雑してしまうかもしれません。交雑すると出現周期は乱れます。そして、天敵の出現周期と重なることも考えられます。
ところが、13年と17年周期という素数が最初に出合うのは、221年後です。
よって、13年や17年周期のセミは、他の周期セミよりも交雑の機会は少なくなります。そのため、出現周期が乱れることもなく、現在に至ったと考えられます。
交雑して出現周期が乱れた子孫が登場すると、増々、交雑する機会は増えてしまいます。
こんなことが、長期間繰り返されたら、セミの出現頻度は増えて、やがて天敵が大量に出現する周期と重なってしまいます。すると、セミの数は減少して、最終的には絶滅してしまうでしょう。
以上が、13年と17年周期の周期ゼミだけが生き残ったという憶測です。そして、13年と17年周期ものセミが生息する北米が特別長寿になった理由でしょう。
まとめ
幼虫時代も含めると、セミの寿命は昆虫の中では長寿です。特に、北米で大量に発生する周期ゼミは、13年や17年もの寿命です。
ただし、何故、そんな周期で大量に発生するのかの証拠も確認されていません。
周期ゼミには、まだまだ多くの謎があります。楽しみは尽きませんね。