古代ハスとは、数100年から数1,000年前の地層から発掘された種子を育てて発芽したハスです。ハスは保存環境によって、数1,000年もの間、発芽可能な状態で保管できると言われています。この記事では、ハスが、長期保管できる理由を紹介しています。
ハスの果実が長期保存に耐える理由
ハスの果実が長期保管に耐える理由を次に示します。
- 果皮が堅い
水分や酸素が入りにくくなって代謝が進みにくい構造。そのため、発芽しにくい。
菌類の侵入を防御する効果が高く、胚の変質を防げている。 - 生育環境(保存環境)による影響
ハスの生育場所は湿地の土壌中です。そのため、低温で光が遮断されて果皮の劣化速度が抑えられていたと考えられます。
以上のように、ハスの果皮が堅いことと、低温で光が届かない保存場所の影響で、長期間安定的に保存されていたのでしょう。その為、2,000年以上も前の果実が発芽できたと考えられています。
古代ハスとは何だろう?
古代ハスと呼ばれるのは、数100年から数1,000年前の地層から発掘された種子を育てて発芽したハスです。
古代ハスで有名なものは、大賀ハスです。
大賀ハスは、1947年の丸木舟などの発掘調査で、ハスの堅い果皮の果実や花托(かたく)が偶然見つかり、発見されました。発見された場所は、落合遺跡(千葉県千葉市)と名付けられました。その後、現在有名になった大賀ハスと名付けられています。
当時、古代ハスの研究者だった大賀一郎博士は、地元の人の協力を得て1951年、落合遺跡からハスの種子を3粒ほど発見しました。そして、3粒の内1粒が発芽に成功しています。
このハスは翌年の7月に開花して、米国の、Life誌に世界最古の花として紹介されています。そのお陰で、世界中の話題になっています。
大賀ハスを古代ハスと認定した根拠
ハスの年代測定は、同じ地層で発掘された木片で行っています。
年代測定に用いた木片は、落合遺跡の地層から発見された丸木舟の木片です。この木片を大賀博士が、シカゴ大学に依頼して、放射性炭素年代測定で行いました。
木片の年代測定の結果は、3,075年(前後180年)前と確認された。
大賀博士は、この結果を受けて同じ地層で見つかったハスは、2,000年以上前のものとして公表しています。
ハスの花托と果実とは?
花托(かたく)というのは、被子植物が花を付ける柄(え)の先端部分のことです。花托に花びらや雌しべ、雄しべなどが付きます。
ハスの場合、花が咲いて落ちると、蜂の巣のような形状に見えるのが花托です。花托は、花びらや雄しべ、雌しべの土台になる部分をイメージすればよいでしょう。
ハスの果実は、蜂の巣の穴のような花托に、めり込んでいて、多数の果実が集まる集合果の構造になっています。
成熟するとともに、花托に、めり込む果実の穴に隙間ができます。そうなると、果実は、花托から水の中に落ちる準備を始めます。
ハスの果実の最外部は果皮と呼ばれる果実です。但し、果肉は無く、硬いため堅果(けんか)と呼ばれています。ドングリも堅果です。
まとめ
古代ハスとは、数100年から数1,000年前の地層から発掘された種子を育てて発芽したハスのことです。
ロマンを感じさせる、大賀ハスは、古代ハスです。
ハスの果実は堅い果皮で守られているため、保存環境が整うことで数1,000年もの間、発芽できる状態で保存されることが知られています。